最新記事

テクノロジー

アップル:消費者の味方からいじめっ子企業に豹変

2010年5月21日(金)15時19分
ダニエル・ライオンズ(テクノロジー担当)

 アップルが秘密保持に執着するのは有名な話。だから4月、テクノロジー情報ブログ「ギズモード」が発売前の第4世代iPhone──アップルの技術者が自身の誕生日会会場のビアガーデンに置き忘れた──を入手し、その詳細を記事にしたのは何とも愉快だった。

 怒ったアップルはiPhone返還を求め、ギズモードもそれに応じた。しかし、ブログ記事掲載の4日後に記者が警察の家宅捜索を受けたことが判明。非難の大合唱が起き、風刺番組『デーリー・ショー』の司会者ジョン・スチュワートは、アップルのスティーブ・ジョブズと彼の仲間は「アップホール(くそったれ)」とこき下ろした。

 長らくメディアにちやほやされてきたアップルは、こうした批判に慣れていない。すべてをコントロールしたがる同社の姿勢は、「勇敢な負け犬」である限り問題にならなかった。アップルは素晴らしい製品を生み出してきたし、反マイクロソフトで消費者の味方である企業に思えたからだ。しかし今年の売り上げは600億ドル近くになる見込みで、時価総額では今や国内3位の大企業だ。

 そんな同社にとって、家宅捜索の一件は最悪のイメージダウンを招いた。最近のアップルはまるでハイテク業界のいじめっ子。ギズモード以前にも、携帯電話に進出したかつての盟友グーグルともめたり、台湾の携帯メーカーHTCを特許侵害で提訴している。

 ウェブ動画の多くで使われているアドビのソフト、フラッシュをiPhoneとiPadに搭載することも拒否。アップル側は技術的な理由と言うが、大企業が中小の商売敵をつぶそうと躍起になっているようにしか見えない。

[2010年5月26日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

鉄鋼関税、2倍の50%に引き上げへ トランプ米大統

ビジネス

アングル:トランプ関税、世界主要企業の負担総額34

ワールド

トランプ米大統領、日鉄とUSスチールの「パートナー

ワールド

マスク氏、政府職を離れても「トランプ氏の側近」 退
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岐路に立つアメリカ経済
特集:岐路に立つアメリカ経済
2025年6月 3日号(5/27発売)

関税で「メイド・イン・アメリカ」復活を図るトランプ。アメリカの製造業と投資、雇用はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プーチンに、米共和党幹部やMAGA派にも対ロ強硬論が台頭
  • 3
    イーロン・マスクがトランプ政権を離脱...「正直に言ってがっかりした」
  • 4
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が…
  • 5
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 6
    【クイズ】生活に欠かせない「アルミニウム」...世界…
  • 7
    「これは拷問」「クマ用の回転寿司」...ローラーコー…
  • 8
    ワニにかまれた直後、警官に射殺された男性...現場と…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」時代の厳しすぎる現実
  • 3
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多い国はどこ?
  • 4
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 5
    アメリカよりもヨーロッパ...「氷の島」グリーンラン…
  • 6
    デンゼル・ワシントンを激怒させたカメラマンの「非…
  • 7
    「ディズニーパーク内に住みたい」の夢が叶う?...「…
  • 8
    友達と疎遠になったあなたへ...見直したい「大人の友…
  • 9
    ヘビがネコに襲い掛かり「嚙みついた瞬間」を撮影...…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 5
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 6
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 9
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中