うわべの景気回復に油断は禁物
石油危機後並みの低迷か
以上のことから察すると、世界的な景気回復は不安定なものになりそうだ。景気回復の度合いは04年に比べて弱い。その一方で、多くの新興国では、インフレが既に許容できる上限すれすれに達しつつあり、投機マネーは依然として商品市場にためらうことなく流れ込んでいる。
このため、中央銀行はこれから何カ月間も積極的に金融引き締めを行い、インフレを抑制しなければならない。その結果、世界経済のひ弱な回復プロセスが軌道から外れてしまう恐れがある。
一時的な景気回復と物価高騰の悪循環が続く限り、今年は04年との共通点がほとんどない年になるだろう。
それどころか、大恐慌後の30年代後半か第1次オイルショック後の70年代半ばに近い状況に陥るかもしれない。世界経済と株式市場は一旦は急速な回復を見せる。しかし、その後は低迷が続き、世界経済危機という大きな嵐が経済システムに残した傷跡からほとんど抜け出せない状況が続くのだ。
[2010年3月 3日号掲載]