最新記事

ウォール街

業績回復で「オバマへの献金やめた」?

2009年10月22日(木)19時07分
デービッド・ロスコフ(カーネギー国際平和財団客員研究員)

 だが少なくとも、彼らが理解する唯一の言語である「カネ」で対価を支払うぐらいの礼はあると思った。だが10月19日付けのニューヨーク・タイムズ紙によれば、バラク・オバマ大統領がニューヨークで(要するにウォール街の目と鼻の先で)政治資金集めのパーティーを開くにあたって、公的資金の注入を受けた大手金融機関の反応は冷淡で、献金には及び腰だという。

 それだけではない。ウォール街から民主党への献金も、民主党が多数派を占める連邦議会とオバマ政権が金融機関を救済した後、減っているという。

 民主党は、金融機関が儲け続けるために納税者が損をしなくてはならない構図を解消し、運用リスクを軽減するための規制強化を検討している。ウォール街は、それが気に入らないのだろう。オバマにも、もうエサはやらないというわけだ。

規制強化のしっぺ返しが待つ?

 個人的には、ウォール街は計算違いをしていると思う。彼らはついに、おのれの強欲さのために身を滅ぼすかもしれない。

 顧客からカネを搾り取り、世界経済をぶち壊したからではない。ゲームのルールを決める人々への献金をやめたからだ。せっかくカネを工面してやったのに、金融機関は献金を止めるという。政治家にしてみれば、これで晴れて自分の信条に立ち返れるというものだ。

 だから、オバマの資金集めパーティー(会費は一人1万5000ドル)でも、重要なのは会場に向かう姿がテレビに映し出された金融関係者ではない。パーティーに出席すらしない連中のほうだ。彼らが来ないおかげで、大統領や議会は本来あるべき積極姿勢で金融規制改革を進めることができる。

 ワシントンに戻ったオバマ大統領がニューヨークでのパーティーを思い出すとき、その脳裏にはさきほどのマディ・ウォーターズの歌の続きが浮かぶかもしれない。


昨日の夜、君を見た 新しい玩具を手に、街に繰り出した君 でもいいさ、楽しみ続けるがいい いつの日か君はツケを払うことになるんだから


 まさに自業自得と言う以外にない。


Reprinted with permission from David J. Rothkopf's blog, 22/10/2009. © 2009 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英中銀、今後の追加利下げの可能性高い=グリーン委員

ビジネス

サムスン電子、第3四半期は32%営業増益へ 予想上

ビジネス

MSとソフトバンク、英ウェイブへ20億ドル出資で交

ビジネス

米成長率予想1.8%に上振れ、物価高止まりで雇用の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:中国EVと未来戦争
特集:中国EVと未来戦争
2025年10月14日号(10/ 7発売)

バッテリーやセンサーなど電気自動車の技術で今や世界をリードする中国が、戦争でもアメリカに勝つ日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 2
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由とは?
  • 3
    車道を一人「さまよう男児」、発見した運転手の「勇敢な行動」の一部始終...「ヒーロー」とネット称賛
  • 4
    メーガン妃の動画が「無神経」すぎる...ダイアナ妃を…
  • 5
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 6
    筋肉が目覚める「6つの動作」とは?...スピードを制…
  • 7
    連立離脱の公明党が高市自民党に感じた「かつてない…
  • 8
    1歳の息子の様子が「何かおかしい...」 母親が動画を…
  • 9
    ウィリアムとキャサリン、結婚前の「最高すぎる関係…
  • 10
    あなたの言葉遣い、「AI語」になっていませんか?...…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル賞の部門はどれ?
  • 4
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    ロシア「影の船団」が動く──拿捕されたタンカーが示…
  • 7
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 8
    ウクライナの英雄、ロシアの難敵──アゾフ旅団はなぜ…
  • 9
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 10
    トイレ練習中の2歳の娘が「被疑者」に...検察官の女…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
  • 10
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中