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保険とタバコのオイシイ錬金術

2009年6月19日(金)16時31分
ジェイミー・カニングハム

喫煙を奨励したいのが保険会社の本音? Lucas Jackson-Reuters

 タバコは体には悪いが金になる──これが生命保険会社の本音らしい。

 医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスンの6月4日号の記事によれば、アメリカとカナダ、イギリスの医療保険や生命保険の会社は、タバコ会社に総額40億謖を超える投資をしているという。喫煙者だからという理由で加入を断ったり、通常よりも高い掛け金を要求している保険会社が、喫煙者にタバコを売っているメーカーの株で利益を得ているのだ。

 記事によれば、プルデンシャル・ファイナンシャルやマスミューチュアル、ニューヨークライフといった大手保険会社は、レイノルズ・アメリカン、フィリップ・モリスUSA、ロリラードといったタバコ大手の株を所有している。

 喫煙は癌や心臓発作、脳梗塞を引き起こす危険が高いと考えられているのは言うまでもない。なのに保険会社は多額の金をタバコ会社の株で運用しているのだ。例えばプルデンシャルはレイノルズ・アメリカンに6940万謖、ロリラードに880万謖、フィリップ・モリスUSAに1億8610万謖、合計で2億6430万謖を投資している。マスミューチュアルのタバコ会社への投資額は5億謖をはるかに超える。

 つまり保険会社はタバコから二重の利益を得るすべを見つけ出したわけだ。喫煙者からは高額の掛け金を取り立て、メーカーの株で資金運用を行う。記事はカナダとイギリスではアメリカ流の医療保険制度の民営化が検討されているとして、両国に住む読者に特に警告を発している。

 本当に保険会社が加入者の健康を守ることよりも利益追求を重視しているとしたらショッキングな話だ。調査を行った研究者はこうも述べている。「アメリカに暮らすわれわれにとって、保険会社が何よりも優先するのは人々の健康や安寧を守ることではなく、金儲けだという現実をこのデータは突き付けている」

[2009年6月24日号掲載]

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