最新記事

民主党政権で小沢一郎の役職は?

オブザーヴィング
民主党

気鋭の日本政治ウォッチャーが読む
鳩山政権と民主党ニッポンの進路
by トバイアス・ハリス

2009.09.14

ニューストピックス

民主党政権で小沢一郎の役職は?

小沢が自分に忠実な党員を使って内閣に圧力をかけず、逆に党内安定に貢献する可能性もある

2009年9月14日(月)18時25分

[2009年8月24日更新]

 鳩山政権で藤井裕久が財務相に任命される可能性について先日のブログに書いたが、その後産経新聞が、内閣の重要なポストについて長文の観測記事を掲載した。それによると、鳩山由紀夫は藤井を財務相に、岡田克也を外相に、菅直人を官房長官にそれぞれ任命するかもしれない。

 岡田を財務相にとの声もあるが、消費税増税を否定していないため党には受け入れられないという。私は菅を官房長官にするのは良いアイデアだと思う。菅は行政改革に関して党の筆頭スポークスマンになりつつあり、行政改革は民主党政権の官房長官にとって中核的な仕事になるからだ。記事は長妻昭が入閣する可能性も示唆している。

 当然ながら、小沢一郎を党幹事長に充てる案にも記事は触れている。私は小沢を入閣させないことの妥当性に今もやや懐疑的だが、小沢が自分に忠実な党員を使って内閣に圧力をかける危険については前ほど心配していない。確かに民主党には、政界入りを手助けしてもらった恩義を小沢に感じている候補者もいるだろうが、小沢が自らへの忠誠と党への忠誠のどちらかを選ばせるとは思えない。むしろ小沢が党内を安定化させる可能性もなくはない。事実上の「院内幹事長」を務めながら、党が将来の選挙に向けて態勢を整えるのに貢献するというわけだ。

 もっとも、党への忠誠に関しては小沢には疑わしい過去がある。自分がつくった政党への忠誠すら疑わしい。政治アナリストの伊藤惇夫は文芸春秋最新号の記事で、「政党は道具に過ぎない」という小沢の言葉を発掘している。だがそれはあくまで過去の話。小沢はこれまで、自民党に圧勝して衆議院の3分の2近い議席を獲得した政党──もうすぐ実現しそう──を率いる立場には就いたことがないのだ。

 小沢の党への忠誠について、歴史は単純に繰り返すのか。そう思えない理由は大いにある。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

25年全国基準地価は+1.5%、4年連続上昇 大都

ビジネス

豪年金基金、為替ヘッジ拡大を 海外投資増で=中銀副

ビジネス

トランプ氏、NYタイムズ提訴 名誉毀損で150億ド

ワールド

米カタール、防衛協力強化協定とりまとめ近いとルビオ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く締まった体幹は「横」で決まる【レッグレイズ編】
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 6
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 7
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 8
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中