コラム

中国政府に転んだ「反逆のアーティスト」艾未未の正体

2026年01月31日(土)15時10分
ラージャオ(中国人風刺漫画家)/トウガラシ(コラムニスト)

反体制活動家の階層的差異を曖昧に

高度に階層が固定化された中国社会では、反抗そのものが既に階層化されている。「奴隷の反抗」が今なお不可逆の代償を払い続ける一方で、進退自在な紅二代の反逆者の存在は、中国においては何をしたかよりも、どんな人物であるかのほうが重要であるという現実を人々に突き付ける。

国際社会は長年、中国の反体制活動家の階層的差異を曖昧にし、等しく「勇気の物語」として語ってきた。艾未未の今回の一件は、この大きな誤解を解くきっかけになった。権力への挑戦によって名声を得たこのアーティストは、気付けばその「中指」を自分自身に向けていたのだ。


ポイント

劉暁波
元北京師範大学講師。1989年の天安門事件で学生を守るため最後まで広場に残り、投獄される。「08憲章」の中心的起草者。2010年にノーベル平和賞受賞。17年死去。死後、遺骨は海へまかれた。

紅二代
中国の高級幹部の子弟を意味する「太子党」のうち、共産革命に活動した幹部の子供たちを指す。失脚した元重慶市党委員会書記の薄熙来(ボー・シーライ)もその1人。

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プロフィール

風刺画で読み解く中国の現実

<辣椒(ラージャオ、王立銘)>
風刺マンガ家。1973年、下放政策で上海から新疆ウイグル自治区に送られた両親の下に生まれた。文革終了後に上海に戻り、進学してデザインを学ぶ。09年からネットで辛辣な風刺マンガを発表して大人気に。14年8月、妻とともに商用で日本を訪れていたところ共産党機関紙系メディアの批判が始まり、身の危険を感じて帰国を断念。以後、日本で事実上の亡命生活を送った。17年5月にアメリカに移住。

<トウガラシ>
作家·翻訳者·コラムニスト。ホテル管理、国際貿易の仕事を経てフリーランスへ。コラムを書きながら翻訳と著書も執筆中。

<このコラムの過去の記事一覧はこちら>

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