コラム

中国政府に転んだ「反逆のアーティスト」艾未未の正体

2026年01月31日(土)15時10分
ラージャオ(中国人風刺漫画家)/トウガラシ(コラムニスト)
中国

©2026 REBEL PEPPER/WANG LIMING FOR NEWSWEEK JAPAN

<中国の反体制アーティスト・艾未未(アイ・ウェイウェイ)がこれまでの鋭い批判姿勢を一転させ、共産党政権を礼賛。世界に衝撃が走ったが、そもそも国際社会は長年、中国の反体制派や民主活動家に存在する「ある問題」を見過ごしてきた>

2025年12月、中国を代表する反体制アーティスト・艾未未(アイ・ウェイウェイ)は、祖国を離れてから10年ぶりに、93歳の母親を見舞うため帰国した。本来なら静かな家族再会となるはずだったが、その後のドイツメディアのインタビューによって、大きな波紋を呼ぶことになった。

インタビューで彼は、これまでの中国に対する鋭い批判姿勢を一転させ、「中国では多くの前向きな変化が起きており、国家の富や国民の生活水準という点で、中国はいま最も良い時代にある」と語った。中国の検閲制度は「極めて深刻な問題」ではあるが「検閲は中国固有のものではない。アメリカにも西側世界にも存在する」と主張。「中国は拡張を追求してきたことはなく、人民の尊厳と民族的誇りを守る点では決して妥協しない」とも述べた。


政府見解のような言葉に耳を疑ったが、ここで人々はようやく問題の本質を理解した。「奴隷の反抗」と「紅二代(こうにだい)の反逆」は、根本的に全く異なるのだ、と。

「奴隷の反抗」は、後ろ盾のない普通の人間が、言論空間の圧縮、尊厳の侵害など直接的な圧力を受けることで生じる。民主活動家・劉暁波(リウ・シアオポー)はその典型例だ。

しかし艾未未は違う。彼は「紅二代」だ。父である著名な詩人・艾青(アイ・チン)は、毛沢東や習近平(シー・チンピン)の父・習仲勲(シー・チョンシュン)とも交友関係にあった。最高権力者にとって脅威とならない限り、彼らはどれほど反逆的でも「内側の人間」としてその存在を許される。

プロフィール

風刺画で読み解く中国の現実

<辣椒(ラージャオ、王立銘)>
風刺マンガ家。1973年、下放政策で上海から新疆ウイグル自治区に送られた両親の下に生まれた。文革終了後に上海に戻り、進学してデザインを学ぶ。09年からネットで辛辣な風刺マンガを発表して大人気に。14年8月、妻とともに商用で日本を訪れていたところ共産党機関紙系メディアの批判が始まり、身の危険を感じて帰国を断念。以後、日本で事実上の亡命生活を送った。17年5月にアメリカに移住。

<トウガラシ>
作家·翻訳者·コラムニスト。ホテル管理、国際貿易の仕事を経てフリーランスへ。コラムを書きながら翻訳と著書も執筆中。

<このコラムの過去の記事一覧はこちら>

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