コラム

女子大生セックス動画公開を恥じる、中国の「国家の品格」

2025年08月01日(金)17時30分
ラージャオ(中国人風刺漫画家)/トウガラシ(コラムニスト)

もし男女が逆だったら?

そもそも、1人の女子学生の私生活が重大視される必要はないが、相手が外国人であり、なおかつ不適切動画が海外のSNS上で拡散されたことで、「中国女性が外国人に寝取られた、しかもそれが広く知れ渡った。これは中国人のメンツをつぶすものだ」と、多くの愛国者たちの「ガラスの愛国心」が刺激された。愛国世論の高まりを防ぐため、また上級機関から責任を問われることを恐れた大学の指導者は、女子学生を公開退学処分にして責任を切り離したのだろう。

もし男女が逆だったらどうだろう。中国人男性が外国人女性と一夜限りの関係を持ち、それを中国のネットで誇示したら、愛国者たちは「わが国の威光を示した」と自慢するだろう。これが中国人、特に中国人男性の精神状態の真実だ。女性を物として扱い「女性を辱める」ことこそ、中国の品格を辱めていることに気付かない。


ポイント

甘粛省幼稚園鉛中毒事件
同省東部の私立幼稚園で7月上旬、園児233人の血液から異常値の鉛が検出された。園長ら8人を拘束。給食の見栄えを良くするため入れた工業用顔料が原因とみられる。

杭州市水道水汚染事件
7月中旬、浙江省杭州市内の一部地域の住民が「水道水から糞便のようなにおいがする」と苦情を申し立て、大きな騒ぎに。下水道の汚水が流れ込んだのではと疑われた。

プロフィール

風刺画で読み解く中国の現実

<辣椒(ラージャオ、王立銘)>
風刺マンガ家。1973年、下放政策で上海から新疆ウイグル自治区に送られた両親の下に生まれた。文革終了後に上海に戻り、進学してデザインを学ぶ。09年からネットで辛辣な風刺マンガを発表して大人気に。14年8月、妻とともに商用で日本を訪れていたところ共産党機関紙系メディアの批判が始まり、身の危険を感じて帰国を断念。以後、日本で事実上の亡命生活を送った。17年5月にアメリカに移住。

<トウガラシ>
作家·翻訳者·コラムニスト。ホテル管理、国際貿易の仕事を経てフリーランスへ。コラムを書きながら翻訳と著書も執筆中。

<このコラムの過去の記事一覧はこちら>

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