<香港警察の暴力を支持した中国本土の学生たちだが、自分たちが被害者になったときに同じ目に遭ってしまった>

「私は香港警察を支持する」。一昨年、南京師範大学中北学院の学生が中国SNS上でデモを取り締まる香港警察の暴力を支持したとき、たった2年後に自分たちが香港の学生と同様に警察の暴力を受けることなど全く想像できなかっただろう。

6月4日、南京師範大学中北学院など江蘇省・浙江省の5つの大学で大規模な抗議活動が起きた。この5つの大学に属する「独立学院」は、教育省の命令で別の高等職業学校と合併し、職業大学に変わることになった。4年制大学に入学したはずの学生たちは、短大卒業に近い学位になってしまう。

明らかな権利の侵害だが、中国メディアはほとんど報じず、その上、地元警察が大量に出動して抗議する学生たちを殴り、催涙スプレーを吹き付けた。怒った学生たちは中国SNSの微博(ウェイボー)で助けを求めたが、受け取ったのは「私は警察を支持する」という皮肉なリプライだけ。

外国メディアが取材しようとしたが、学生たちはなんと「われわれは愛国学生であり政府を信じる。権利を侵害されても反中勢力に利用されたくない」と、取材に応じなかった。「小粉紅」と言われる未熟な愛国主義者の彼らは、政府批判を許せない売国行為だと考える。「売国奴」の自由派知識人は、今ほとんど口を封じられたか、逮捕されたか、中国ネットから消えた。今回、学生たちを支援する者は1人もいなかった。

現在の中国ネットは小粉紅や極端な民族主義者が跋扈しているが、彼らは新しい敵を探し始めている。

5月、司法・公安を統括する共産党中央政法委員会が微博に「中国の点火VSインドの点火」という写真を投稿した。中国の宇宙ロケット発射とインドのコロナ犠牲者の火葬写真を並べてインドを嘲笑する内容だ。民族主義者で有名な環球時報の胡錫進(フー・シーチン)編集長すら「政府機関の公式アカウントとして不適切」と批判。すると彼も「インドの犬」と罵られた。

香港警察を支持した学生は地元警察に殴られ、民族主義者の編集長は極端な民族主義者に攻撃された。国民を従順にするため権威主義国家は敵をつくり出す。そして気が付いたとき、自分たちと違う考えを擁護する者はいなくなっている。

ポイント

汉奸、外国舔狗、卖国贼

中国の裏切り者、外国の犬、売国奴

独立学院

経済成長に伴う大学入学希望者の増加を受けて、1990年代に生まれた新しい高等教育機関。公立の一般大学と民間の出資者が協力して設立し、大学の本科(学部)レベルの教育を提供する。学費は公立の倍以上。当初は公立の教育機関とされたが、2008年に私学の扱いに変わった。

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