コラム

借金大国アメリカでもお金持ちは減税(パックン)

2018年02月28日(水)15時30分
ロブ・ロジャース(風刺漫画家)/パックン(コラムニスト、タレント)
借金大国アメリカでもお金持ちは減税(パックン)

政府債務をこの世の終わりのように騒ぎ立てるのは共和党の常とう手段 (c)2018 ROGERS─PITTSBURGH POST─GAZETTE

<米共和党は、選挙戦では財政再建を訴えて、結局は減税や歳出増加で債務を増やすのがお約束。トランプの富裕層減税もまさにこのパターンで、もはやだまされる国民が悪い>

借金を19兆ドルも抱えている! 国家運営がずさん過ぎる! 借金大国だ! なんとかしなきゃ! 16年にそう警鐘を鳴らしたのは、当時大統領候補だったドナルド・トランプ。「俺より借金に詳しい人はいない」と、自分の借金対策を売りに投票を呼び掛けた。ワシントン・ポストの取材には、8年間で国の借金を完済するとまで約束した。

しかし大統領になると、この方針を大転換。国家債務が10年間で1兆ドル増えるとされる減税法案を昨年12月に成立させた。さらに、2月に提出した国家予算案は1年間で1兆ドル、10年間で7兆ドルもの財政赤字を見込んでいる。それも至って楽観的な試算で。ちなみに減税ではお金持ち、特に不動産投資で儲かっている人の負担が大幅に減る! 国家予算は心配だが、トランプ家の予算は健全だろう。

これは共和党の常套手段。風刺画にあるように「財政赤字は大罪だ!(Budget deficits are a mortal sin!)」「かわいそうな孫たちに想像を絶する苦痛を与える!(They will inflict unthinkable pain and suffering on our poor grandkids!)」と、まるで世界の終わりをもたらすかのように赤字予算を嫌う。

民主党政権が目指す福祉制度の強化に反対したり、選挙戦で「財政再建」を訴えたりする。しかし、政権を握ると減税と歳出増加を繰り返し、結局、借金は急増。レーガン政権の8年間で借金は186%、パパ・ブッシュの4年間では54%、ブッシュ・ジュニアの8年間では101%増えた。

民主党大統領のビル・クリントンやバラク・オバマの政権下でも借金は増えたが、増加率はもっと低かったし、クリントンは退任するとき国家予算を黒字に戻していた。

もはや、だまされる国民が悪いと思う。過去の共和党政権を見れば公約を守る気がさらさらないことは分かるはず。有権者は選挙集会で声を合わせて「USA! USA!」ではなく、「USO! USO!(ウソ! ウソ!)」と叫ぶべきだろう。

しかも「借金に詳しい」というトランプの自慢は実績に基づくもの。彼は過去の会社経営で何度も大量の借金を抱えたことがある。その時の対策は......破産。国にも同じことをさせるつもりでは?

【ポイント】
THEY WILL TRIGGER THE COMING APOCALYPSE!

財政赤字は世界の終末をもたらす!

DEFICIT-EXPLODING BUDGET AND TAX CUTS FOR THE RICH
財政赤字を急増させる予算と富裕層向けの減税

<本誌2018年3月6日号掲載>

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