コラム

北京五輪の外交ボイコットに対抗する中国が打つ「先手」

2021年11月27日(土)12時00分

ここにきて北京五輪ボイコットをめぐる議論が熱を帯びていることには、最近バイデン米大統領と中国の習シー・チンピン近平国家主席がオンラインで会談を行ったことに加えて、中国の女子プロテニス選手、彭ポン・シュアイ帥をめぐる問題も影響している。女子ダブルスで世界ランキング1位に立ったこともある彭は、中国の前副首相に性行為を強要されたと告発した後、消息を絶っている。

最近、有力スポーツ誌スポーツ・イラストレイテッドに掲載された論説は、女子テニス協会(WTA)が中国からの収益を全て拒否し、中国での大会開催を全面的に中止すべきだと訴えた。「WTAの真価が問われている。WTAはプレーヤーの魅力を信じるべきだ。ここで気骨を見せればマーケットは支持してくれる」

WTAはともかく、アメリカの国際的な地位が低下していることを考えると、アメリカ政府が北京五輪の全面的なボイコットに踏み切ることはおそらく難しい。では、外交ボイコットで落ち着くのか。

中国は、非常にプライドを重んじる国だ。アメリカが政府高官を派遣せず、自国のメンツがつぶされる事態は、避けようとするだろう。つまり、アメリカ政府が正式な決定を下す前に先手を打つ形で、新型コロナウイルス対策を口実にして外国政府高官の参加を全て拒否する方針を打ち出すのではないかと、私は予想している。

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サム・ポトリッキオ

Sam Potolicchio ジョージタウン大学教授(グローバル教育ディレクター)、ロシア国家経済・公共政策大統領アカデミー特別教授、プリンストン・レビュー誌が選ぶ「アメリカ最高の教授」の1人

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