コラム

上院も制したアメリカの民主党。それでも「ブルーウェーブ」は幻だった訳

2021年01月09日(土)16時00分

決選前にジョージア州入りしたイバンカ・トランプ(2020年12月) ELIJAH NOUVELAGE/GETTY IMAGES

<上下両院とホワイトハウスの3つを支配下に収める小さな奇跡を起こしたが、なぜ民主党は薄氷を踏む勝利しかできなかったのか>

2020年11月の大統領選前には、リベラルの主流メディアは民主党が上下両院を制する圧勝、つまり「ブルーウェーブ(青い波)」が起きると報じていたのではなかったか。なぜ大統領選当日の夜の時点でトランプ大統領は3つの激戦州を接戦に持ち込み、共和党は下院で過半数目前にまで議席を積み増し、上院では民主党にリードしていたのか。

ブルーウェーブが幻に終わったのは、世論調査会社と「エリートメディア」による失態のせいなのか?これには、4つの説明が考えられる。

まず最もよく言われるのが、アメリカはトランプにはノーを突き付けたが、国民の支持は今も共和党と民主党の間で二分しているというものだ。評論家も世論調査の回答者もトランプの不支持率の高さに影響され、民主党の優勢を過信した。共和党が下院選で全ての議席の再選を確実にしたことは一貫性を示す驚くべき功績であり、共和党に対する強固な支持を証明するものだった。

2つ目に、共和党のほうが精力的に選挙戦を行った。大統領選と上下両院議会選挙という3つでの敗北を予感していた共和党は、選挙戦を死に物狂いで展開した。そもそも新型コロナウイルスの感染に懐疑的な共和党幹部たちは、岩盤支持層のエネルギーを呼び覚まし熱狂させるため、オンラインではなく生の集会を開催した。候補者が有権者とじかに触れ合うことほど票集めに有効なものはない。民主党が画面越しに訴えるなか、共和党が演説台の上で選挙戦を展開したことは、ラストスパートにおける驚異的な後押しとなった。

3つ目に、全国的な世論調査の総計はジョー・バイデン前副大統領の勝利をほぼ正確に言い当てていたが、特に中西部の激戦州では誤差の範囲以上に予測を外し、その外し方には規則性があった。世論調査は常に民主党に有利に出やすいものだが、トランプが出馬した2回の選挙では共和党が事前の調査を大きく上回る票を獲得している。

プロフィール

サム・ポトリッキオ

Sam Potolicchio ジョージタウン大学教授(グローバル教育ディレクター)、ロシア国家経済・公共政策大統領アカデミー特別教授、プリンストン・レビュー誌が選ぶ「アメリカ最高の教授」の1人

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ウクライナ2都市にロシアが攻撃、和平協議直後

ビジネス

乳児ボツリヌス症の集団感染、バイハート社の粉ミルク

ワールド

北朝鮮抑止「韓国が主な責任」、米国防総省が関与縮小

ワールド

トランプ政権のEVインフラ助成金停止は違法、米地裁
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:「外国人問題」徹底研究
特集:「外国人問題」徹底研究
2026年1月27日号(1/20発売)

日本の「外国人問題」は事実か錯誤か? 7つの争点を国際比較で大激論

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 2
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味を帯びる「超高齢化」による「中国社会崩壊」
  • 3
    麻薬中毒が「アメリカ文化」...グリーンランド人が投稿したアメリカを嘲笑する動画にネット爆笑
  • 4
    40代からは「積立の考え方」を変えるべき理由──資産…
  • 5
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 6
    サーモンとマグロは要注意...輸入魚に潜む「永遠の化…
  • 7
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 8
    トランプを支配する「サムライ・ニッポン」的価値観…
  • 9
    「これは違法レベル...」飛行機で「史上最悪のマナー…
  • 10
    3年以内に日本からインドカレー店が消えるかも...日…
  • 1
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 2
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 3
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味を帯びる「超高齢化」による「中国社会崩壊」
  • 4
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 5
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 6
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 7
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 8
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 9
    韓国が「モンスター」ミサイルを実戦配備 北朝鮮の…
  • 10
    40代からは「積立の考え方」を変えるべき理由──資産…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 4
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story