コラム

マララと真逆のグレタ・トゥーンベリが、人々の心をつかめる理由

2019年09月30日(月)15時50分

トランプ米大統領もグレタたたきに加わり、子供っぽさをむき出しにしてツイッターでからかった。

「人々は苦しんでいる。人々は死んでいる。生態系全体が破壊されている。私たちは大量絶滅の始まりにいる。それなのにあなたたちが話すのは、お金と永遠の経済成長というおとぎ話だけ」──トランプはこの国連演説を引用する形で、「彼女は明るく素晴らしい未来を願うとても幸せな少女のようだ。見ていて楽しい」と、皮肉っぽくつぶやいた。

これに対してグレタは、ツイッターのプロフィールを「明るく素晴らしい未来を願うとても幸せな少女」に変更した。グレタが議論を呼ぶ理由は、誇張したデマをまき散らしているという批判のせいだけではない。過去にほとんど例のない知名度の急上昇と、第2言語の英語による驚異的なコミュニケーション能力から、大人たちの操り人形という臆測も広がった。

私はグレタの急上昇からトランプを思い出す。大統領選に出馬したときのトランプは、失うものが何もなかった。政界の常識に背を向け、誰とも利害関係を持たず、一か八かの大勝負に打って出る──それが熱烈な支持者の心に火を付けたのだ。

グレタは選挙を心配する必要はない。次の仕事の待遇を左右するような利害関係もない。そしてアスペルガー症候群であることから、おそらく世間の評判もあまり気にならないはずだ。

彼女のアピール力の源泉は、地球環境が破壊されたら全てを失うと警告する一方で、まだ未成年なのでそう主張しても失うものは何もないという事実だ。それがグレタを危険なまでに魅力的な存在にしている。

<本誌2019年10月8日号掲載>

【参考記事】「気候変動が続くなら子どもは生まない」と抗議し始めた若者たち
【参考記事】なぜ祖国パキスタンがマララを憎むのか

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プロフィール

サム・ポトリッキオ

Sam Potolicchio ジョージタウン大学教授(グローバル教育ディレクター)、ロシア国家経済・公共政策大統領アカデミー特別教授、プリンストン・レビュー誌が選ぶ「アメリカ最高の教授」の1人

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