ロンジヌ自身、ここ最近はこのCandidのスタイルを意図的に作品の中心に置くようにしている、と話す。だが、言葉で言うのは簡単でも、被写体との距離感、光、構図、そして何よりも、被写体のムードやエモーション(感情)の波長を身体と頭、感覚と思考の両方で、一瞬に見極める能力がなければならない。そうでなければ、かえって面白みがなく締まりのない写真になってしまう場合が多い。

撮影場所は、ベルリンを中心にしたヨーロッパの各地だ。そこで撮られた写真はムーディーでありドラマティックでもある。その理由は、1つには彼女の写真哲学が「人生を詩的に切り取ること」から来ているという点にある。

だが、もう1つ、彼女が女優であることもうまく作用している。これらは共に、ロンジヌにとって、人間ドラマにおける人への興味をより深く探求させてくれる触媒なのだ。

そしてストリートは、ロンジヌの言葉を借りれば、彼女の興味と観察をより加速させてくれるステージなのである。その中で、詩的な瞬間を本能的に追い求めているのだ。

プロのドキュメンタリー写真家ではタブーとされがちな、ポストプロダクション的な編集も好んで行っている。Canon 6D やFujifilm X70で撮影した写真をライトルームかフォトショップで調整した後、しばしばiPhone に移してさらなる編集を、Snapseed やVSCOのアプリを使って行うという。

その結果、彩度が少し落ちながらも、コントラストが効き、空の色なども肉眼で見たものと比べ、少しシュールになったりしている。これもまた彼女の作品の魅力の1つだ。

ストリートフォトグラフィーを「究極のスポーツ」と言い切るロンジヌ。人間ドラマの飽なき探求はまだまだ続きそうだ。

今回紹介したInstagramフォトグラファー:
efi longinou @efi_o

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