コラム

「動物が重要な役割を担う」フランス人写真家を魅惑した東南アジアの日常

2019年06月21日(金)16時55分

From Florian Gautier @flypicture0

<青年時代に遭遇した未知の国は、その人の人生を大きく変える。現在50歳のフロリアン・ゴーティエにとって、マレーシアとミャンマーはそんな国だった>

まったく文化圏の違う未知の国との遭遇は、それが敏感な青春時代であればあるほど、さまざまな影響を与え、ときとしてその人の人生を大きく変える。写真家もその類にもれない。いや、むしろそうしたタイプが多いだろう。

今回取り上げるのもそうした1人だ。長年東南アジアに住み、パリ在住の今も訪れ続けているフランス人、フロリアン・ゴーティエ、50歳。パリで芸術社会学を学び、映像社会学の修士号を取得している。

写真そのものに関してはアカデミックなバックグラウンドはない。だが、ヘンリー・ミラーなどの文学、またスタンリー・キューブリックや黒澤明、それにフランスのヌーヴェルヴァーグといった映像の影響を受けた後、90年代には写真集団マグナムに代表されるフランスの人道主義ムーブメントと、フランスの写真家ロベール・ドアノーのストリートフォトグラフィーに大きく感化されたという。

東南アジアの中でもマレーシアとミャンマー(もしくはビルマ)は、彼が最もはまり込んでしまった国だ。マレーシアは1996年に、何の前知識もなく、友人と何げなく訪れたのがきっかけだった。西洋とは全く違い、マレー、インド、華僑の文化という多様性、それに加えて人々のフレンドリーさに瞬く間に魅惑されたらしい。

それが多くの作品づくりへの機会となる。結果、マレーシアには1998年から本格的に住み始め、延べ9年間も住むことになる。ミャンマーは、外国人に門戸が開き始めた2002年から2011年にかけて頻繁に訪れている。初めて訪れたときは、写真をうんぬんする以前に、その精神文化に圧倒されたとも言う。

プロフィール

Q.サカマキ

写真家/ジャーナリスト。
1986年よりニューヨーク在住。80年代は主にアメリカの社会問題を、90年代前半からは精力的に世界各地の紛争地を取材。作品はタイム誌、ニューズウィーク誌を含む各国のメディアやアートギャラリー、美術館で発表され、世界報道写真賞や米海外特派員クラブ「オリヴィエール・リボット賞」など多数の国際的な賞を受賞。コロンビア大学院国際関係学修士修了。写真集に『戦争——WAR DNA』(小学館)、"Tompkins Square Park"(powerHouse Books)など。フォトエージェンシー、リダックス所属。
インスタグラムは@qsakamaki(フォロワー数約9万人)
http://www.qsakamaki.com

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