コラム

いよいよ現実のものになった、AIが人間の雇用を奪う時代

2025年10月08日(水)15時00分

それとは別に、ユーザーの人数に対して月ごとのチャージをする場合は1人あたり1カ月100ドル(1万5000円)とか、AI実用化のコンサルについてはピンからキリまでということになります。一方で、ソフトウェア開発の支援としてAIを利用する場合は、ある限度まではいくら使っても価格が変わらない固定価格の契約から、使用量に応じて課金する従量制など、様々なパターンがあります。

確かにAIにおいて先行しているOpenAIの場合は、社名に「オープン」とあるように非営利法人として運営されています。ですが、同社の場合も子会社は営利法人ですし、提携先の企業も多くは営利法人です。そして、こうした営利法人のほとんどは、特に企業向けのAIについてはどんどん課金しており、利用者の側もそのコストを払って使っています。

その上で、具体的にある種の機能や、ある種のタスクについては、人力よりもAIのほうが効率的だという経営判断をしたり、あるいはAI使用にノウハウのあるコンサルに手伝ってもらって判断をしたりしているのです。つまり、初級レベルの事務職やプログラマー職では、既にほぼ完全に「人間とAIが競合関係にある」という状態がアメリカでは現実のものとなっています。その影響をダイレクトに受けているのが、Z世代というわけです。


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プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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