- HOME
- コラム
- プリンストン発 日本/アメリカ 新時代
- 日本の自動車産業はどうして「ギリギリ」なのか
日本の自動車産業はどうして「ギリギリ」なのか
つまり、全体を要約すると、原発の再稼働なしにはEV化はできないし、日本国内でのEV生産もできない。また軽四中心のインフラの中ではEV普及もできない、という指摘です。これは大変な問題で、この複雑な連立方程式をどう解くかは、国家存立に関わる問題と言っても良いかもしれません。
やや話がヨコにズレますが、この豊田氏の指摘を聞いていて、私は経産省とトヨタがEVだけでなく「燃料電池(液体水素)車」の開発にこだわっていた理由が理解できるような気がしました。
つまり2050年が近づく中で、日本が国家として原発再稼働を決断できない場合は、燃料電池車を普及させる、その際に水から酸素を抜いて液体水素を作るという工程に関しては、クリーンな電源の足りない日本ではなく、海外で製造して輸送するという手段が使えるわけです。そうすればクルマの製造は難しくても、売ったクルマを走らせることはできるわけです。
日本にとって電力購入は困難
例えば、川崎重工業は昨年(2019年)に「すいそ ふろんてぃあ丸」という世界初の「液化水素運搬船」を製造しています。この背景には「水素エネルギーサプライチェーン」構想というのがあり、具体的にはオーストラリアで作った液体水素を日本に輸入する計画があるようです。
日本の場合は、原発を廃止しても地続きのフランスから電力を購入できるドイツなどと違って、電力の購入は困難です。多分、経済的には厳しいシナリオになると思いますが、最悪の場合を想定して、燃料電池車というオプションは残そうということなのかもしれません。
いずれにしても、菅政権が「2050年にカーボンニュートラル実現」という中長期の国策を提示したのは、豊田氏も指摘していた通り、一歩前進だと思います。問題は、これに伴ってEV化を実現するのであれば、そのために電源の問題と、軽四の問題をクリアしなくてはならないし、電源に関する決断ができなければ、苦しくても燃料電池に活路を見出すしかない、ということです。これは、国民的な議論が必要な問題です。
アマゾンに飛びます
2025年12月2日号(11月26日発売)は「ガザの叫びを聞け」特集。「天井なき監獄」を生きる若者たちがつづった10年の記録[PLUS]強硬中国のトリセツ
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
アメリカの雇用低迷と景気の関係が変化した可能性 2025.11.19
マムダニ新NY市長の左派政策、日本への影響は? 2025.11.12
NY市長に「社会主義」候補当選、マムダニ・ショックの行方は? 2025.11.05
高市早苗新首相と田原総一朗氏との浅からぬ因縁 2025.10.29
国立大卒業生の外資への就職、その背景にある日本の「保守性」 2025.10.22
日本の次期首相に絶対的に必要なのは「円を守り抜く信念」 2025.10.15
いよいよ現実のものになった、AIが人間の雇用を奪う時代 2025.10.08
-
外資系日用品メーカーで衛生製品の品質保証/薬剤師
ゴージョージャパン株式会社
- 東京都
- 年収600万円~800万円
- 正社員
-
生成AI商材/大手外資系「インサイドセールス「SV候補」」/その他コンサルティング系
ブリッジインターナショナル株式会社
- 東京都
- 年収340万円~450万円
- 正社員
-
プロダクトエンジニア「ポテンシャル採用/大手や外資系など3000社に導入/HR SaaS「ミキワメ」/東京都/web系SE・PG/東京メトロ日比谷線虎ノ門ヒルズ駅から徒歩2分
株式会社リーディングマーク
- 東京都
- 年収400万円~550万円
- 正社員
-
「カスタマーサクセスマネージャー」外資系上場SaaS×AI・IoT日本法人/日本市場の事業成長を一緒に推進するCSMポジション「港区勤務」/IoT・M2M・ロボット
アシオット株式会社
- 東京都
- 年収400万円~1,000万円
- 正社員 / 契約社員






