コラム

アメリカはコロナ感染の「第2波」に入ったのか?

2020年07月02日(木)16時00分

それでは、同じようにロックダウンを解除しつつあるニューヨークやニュージャージーでは、再度の感染拡大が起きていないことの説明としては、抗体保有率の問題があります。例えばニューヨーク州では大規模な抗体検査を行っており、特にニューヨーク市内では抗体保有率が20%となっています。

これは大変に大きな数字です。仮に移動や接触の総量が特に大きいグループを「クラスター予備軍」として分けて考えたとすると、その予備軍の中の抗体保有率は20%よりももっと高くなっていると考えることができます。日本の研究によれば、今回の新型コロナウイルスの場合は「多くの人が、感染しても他人には感染させていない」一方で、「少数の人が大勢に感染させる」つまり「クラスター」が問題だという指摘がされていました。

と言うことは、抗体保有率の全体平均が20%で、もしも「クラスター予備軍」の抗体保有率がもっとずっと高いのであれば、潜在的な危険性を持った「予備軍」に限って言えば「集団免疫」に近い状態になっていると考えることができます。

まだ十分に証明されてはいませんが、仮にそうだとすると、中西部や南部はニューヨーク並みの感染爆発が終わるまで鎮静化はしないという悲観的な見通しになります。反対に、クラスター予備軍のグループが、感染履歴による抗体保有者に加えて、早期にワクチンによる免疫を獲得できれば、両者併せて集団免疫を達成して、ほぼ完全な収束が見えてくるという考え方もできるかも知れません。と言うよりも、そんなシナリオに「すがる」しかないのがアメリカの現状とも言えます。

いすれにしても、「第2波」ではないとされているものの、アメリカではコロナ危機はいっこうに収束の気配を見せていません。

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プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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