NY外為市場=円が対ドルで上昇、日本当局が円安けん制との見方
米ドル、ユーロ、円、ポンドの紙幣。5月4日撮影。REUTERS/Dado Ruvic
[ニューヨーク/ロンドン 22日 ロイター] - ニューヨーク外為市場では、円が対ドルで上昇した。政府・日銀による円買い・ドル売りの為替介入の実施が引き続き意識される中、三村淳財務官が「為替の一方向で急激な動き」を憂慮していると発言。日本当局が為替介入を実施する用意を示唆した可能性が高いとの見方が市場で広がった。
終盤の取引でドル/円JPY=は0.5%安の156.94円。一時は156.71円まで下落した。
日銀は18─19日に開いた金融政策決定会合で政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を0.75%に引き上げると決定。利上げは1月以来で、政策金利は1995年9月以来、30年ぶりの高水準となった。ただ、植田和男総裁が今後の利上げの具体的な時期やペースについて明言を避けたことが円の下落につながっていた。
こうした中、片山さつき財務相は19日、為替相場について「一方向で急激な動きがこの半日、この数時間明らかにあるので憂慮している」とし、行き過ぎた動きには適切に対応する考えを強調。この日は三村財務官が「一方向で急激な動きが見られるので、憂慮している」とした上で「行き過ぎた動きに対しては適切な対応を取りたい」と述べた。 木原稔官房長官もこの日の会見で、為替相場について、一方向かつ急激な動きもみられ憂慮しているとし、行き過ぎた動きには適切に対応するとの従来の見解を示した。
バノックバーン・グローバル・フォレックス(ニューヨーク)のチーフマーケットストラテジスト、マーク・チャンドラー氏は、日銀が利上げを決定する前に政府・日銀が為替介入を実施する可能性は低かったとした上で、利上げ決定後のこうした一連の「口先介入」は「理にかなっている」と指摘。「日銀が利上げしたことで、金融政策は引き締め方向に動いており、円相場はファンダメンタルズから乖離していると言えるようになった。その結果、円のショートカバーが多少入っている」と述べた。
マネックスUSA(ワシントン)のトレーディング部門ディレクター、フアン・ペレス氏は「日銀の利上げは市場に大きく織り込まれていたほか、ファンダメンタルズの改善が確認されない限り、追加的な利上げは行われない可能性がある」とし、「全体的に見れば、円安は日銀の利上げ以外の要因によるものだった」と指摘。「今は為替介入の可能性を注視する必要がある」としながらも、「これまでの為替介入では費用がかさむ一方、得られた効果は限定的だった」とも指摘した。
主要6通貨に対するドル指数は0.4%安の98.3。
ユーロ/ドルは0.4%高の1.1753ドル。
ドル/円 NY午後4時 156.98/157.00
始値 157.41
高値 157.43
安値 156.71
ユーロ/ドル NY午後4時 1.1755/1.1756
始値 1.1733
高値 1.1769
安値 1.1734





