コラム

選挙戦最大のピンチに追い込まれたトランプ

2016年06月16日(木)17時50分

 これと前後して、共和党のラリー・ホーガン知事(メリーランド州)が「自分はトランプには投票しない」と言明して、静かに衝撃が広がりました。特に動揺が激しいのは11月の総選挙で当落線上にいる共和党議員および候補で、このままでは「トランプに引きずられて落選してしまう」という危機感を募らせていると報道されています。

 さらに、7月にオハイオ州クリーブランドで開催される共和党大会では、あらためて「その場で別の候補にスイッチする」作戦が、今度という今度はかなり堂々と語られ始めています。要するに、大統領候補の指名投票において「全面的な造反」を起こし、過去のものとなった「予備選結果」について「緊急避難的に棚上げ」してしまう「ルール改正」が模索されているのです。

 いずれにしても、多くのメディアが共通して指摘しているのですが、今回のフロリダの事件は、トランプにとって、「現実の事件に対処する初めてのレッスン」でした。そのレッスンにトランプは「落第した」という評価が、コンセンサスになりつつあります。

プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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