コラム

アメリカを反面教師として、イスラエルに侵攻前にどうしてもやって欲しいこと(パックン)

2023年10月21日(土)19時11分

まとめると、チェックリストの結果は〇=2,△=3、×=3。少なくともパウエルさんの考え方ではこのままでは行動の開始をお勧めできない。

僕はイスラエルの味方だ。だからこそ、パウエル・ドクトリンの遵守をお願いしたい。これもわが国の経験からのアドバイス。22年前にアメリカも残酷なテロ攻撃を受け、国民の当然の義憤と正当な大義名分で武力行使に走った。

だが、事前にチェックリストをクリアしないで余計な戦争まで起こしてしまった。その結果、8兆ドルもの富と、9.11同時テロで亡くなった倍以上のアメリカ人の命を費やすことになった。相手国の民間人の犠牲はその何十倍に上り、複数の過激派組織の誕生にも地域の不安定にもつながった。わが友よ、僕たちの失敗を繰り返さないでほしい。

追伸:こう願う一方、国民感情が高ぶっているときの冷静な判断の難しさもアメリカ人としてよく分かる。おそらくそれを一番痛感しているのは、パウエル・ドクトリンを守らず2つの戦争を起こした、当時のブッシュ政権の国務長官。ドクトリンを示したパウエル本人だ。

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プロフィール

パックン(パトリック・ハーラン)

1970年11月14日生まれ。コロラド州出身。ハーバード大学を卒業したあと来日。1997年、吉田眞とパックンマックンを結成。日米コンビならではのネタで人気を博し、その後、情報番組「ジャスト」、「英語でしゃべらナイト」(NHK)で一躍有名に。「世界番付」(日本テレビ)、「未来世紀ジパング」(テレビ東京)などにレギュラー出演。教育、情報番組などに出演中。2012年から東京工業大学非常勤講師に就任し「コミュニケーションと国際関係」を教えている。その講義をまとめた『ツカむ!話術』(角川新書)のほか、著書多数。近著に『パックン式 お金の育て方』(朝日新聞出版)。

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