コラム

アメリカから見ると自民党はめっちゃリベラルです

2021年09月25日(土)17時40分

自民党の英語名ってそういえば...

高市さんだけではない、日本の「保守」は原則同じスタンスなはず。そのほかの分野でも、日本の保守は、環境保護の規制を廃止しない。他党の政治家が総理大臣になっても「外国人だ」と拒絶しない。他党の政治家が選挙で勝っても「選挙不正だ」と主張しない。選挙の結果を覆そうと、議事堂に乱入する人々を擁護しない。つまり、アメリカの保守がすることを、日本の保守はしないということ。

では、しないことではなく、日本の保守が「する」こととは何でしょうか。それを見れば本当に保守なのかがわかるはず。では、保守とリベラルのどちらに当たるかを考えながら、過去の自民党政権の公約や政策を、漫才コンビ、ミルクボーイの名物ネタ「コーンフレーク」の口調で列挙してみようか


A:うちのおかんがね、好きな政党が「保守」か「リベラル」か、どっちなのかを忘れたらしくて......。
B:そうなんや。好きな政党の政治理念を忘れるて、どうなってんねや、それ。じゃあ、一緒に考えるから、その党の実績とか教えて
A:ええよ。おかんが言うには、その党は社会福祉強化のための増税をしたんやって。
B:それはリベラルやないか。保守は公的サービスを減らし減税するタイプやから。
A:俺もそう思ったんやけど、おかんが言うにはその党は、保育・教育の無償化も推すんやって
B:じゃあ、それはリベラルやないか。
A:でも、その党は待機児童ゼロを目指すんやって
B:んんん、やはりそれはリベラルやないか
A:僕もそう思ったけど、おかんに聞いたらその党は事実上の移民受け入れ政策にあたるような外国人労働者に関する法改正も行った言うねん......
B:そうか......じゃあ......それはやはりリベラルやないか!!

と、「コーンフレークやろ!」と「やはり違うか......」のように、相反する特徴を交互に挙げるミルクボーイのパターンに当てはまらない!自民党は集団的自衛権などの安全保障関係の実績は少しあるし、「憲法改正する!」という公約をずっと掲げている。だが、実際に立法した主な実績はほとんど「リベラル」なものばっかり。だから、ミルクボーイのネタとして成立しない。残念だね。M-1グランプリでやってほしかったのに。

自民党の重鎮たちに好かれたいのはわかるが、ここまでくると、自民党の政治家はもう「保守」と名乗らなくてもいいのではないか?アメリカでいうなら、保守よりリベラルに近い、共和党(リパブリカン)より民主党(デモクラット)に近いから、自民党自体もそろそろ「リベラル・デモクラティック・パーティー」にでも党名を改めるべきじゃないか?

ん?何?英語名は最初からそうなっていたって......? あ、納得。

プロフィール

パックン(パトリック・ハーラン)

1970年11月14日生まれ。コロラド州出身。ハーバード大学を卒業したあと来日。1997年、吉田眞とパックンマックンを結成。日米コンビならではのネタで人気を博し、その後、情報番組「ジャスト」、「英語でしゃべらナイト」(NHK)で一躍有名に。「世界番付」(日本テレビ)、「未来世紀ジパング」(テレビ東京)などにレギュラー出演。教育、情報番組などに出演中。2012年から東京工業大学非常勤講師に就任し「コミュニケーションと国際関係」を教えている。その講義をまとめた『ツカむ!話術』(角川新書)のほか、著書多数。近著に『パックン式 お金の育て方』(朝日新聞出版)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

世界EV販売は年内1700万台に、石油需要はさらに

ビジネス

米3月新築住宅販売、8.8%増の69万3000戸 

ビジネス

円が対ユーロで16年ぶり安値、対ドルでも介入ライン

ワールド

米国は強力な加盟国、大統領選の結果問わず=NATO
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 3

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親会社HYBEが監査、ミン・ヒジン代表の辞任を要求

  • 4

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 5

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    ロシア、NATOとの大規模紛争に備えてフィンランド国…

  • 9

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 10

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 8

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 9

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 10

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story