コラム

トランプでもトランプに投票した7000万人でもない、米大統領選の真の「敗者」とは

2020年11月10日(火)16時00分

味方が多いためか、トランプは強気だ。選挙集計が終わってもいないうちに勝利宣言をした後に、「選挙詐欺だ」と開票作業の打ち切りを要求した。そしてマニュアルどおりに、複数の訴訟を起こし法廷闘争に持ち込んだ。このコラム執筆時にはまだ結果は出ていないが、数週間もつれて、また最高裁が大統領を決めるシナリオも残っている。

つまり、今回も大統領を決めるのは、トランプに投票した約7100万人ではなく、バイデンに投票した約7500万人でもなく、抑制策に引っ掛かった無数の人でもなく、数人の最高裁判事になる可能性がある。

でも、判事の責任より、卑怯な戦い方をする政党や政治家の責任が大きいと感じる。民意に訴える議論で勝てないなら、選挙で勝つ! 選挙で勝てないなら、裁判で勝つ! 一回勝ったら、判事指名で次も勝ちやすくする! この悪循環で共和党が「勝つ」確率は上がるかもしれない。でも、民主主義国家であるはずのアメリカとしては、明らかに負け路線だ。

<2020年11月17日号「米大統領選2020 アメリカの一番長い日」特集より>

プロフィール

パックン(パトリック・ハーラン)

1970年11月14日生まれ。コロラド州出身。ハーバード大学を卒業したあと来日。1997年、吉田眞とパックンマックンを結成。日米コンビならではのネタで人気を博し、その後、情報番組「ジャスト」、「英語でしゃべらナイト」(NHK)で一躍有名に。「世界番付」(日本テレビ)、「未来世紀ジパング」(テレビ東京)などにレギュラー出演。教育、情報番組などに出演中。2012年から東京工業大学非常勤講師に就任し「コミュニケーションと国際関係」を教えている。その講義をまとめた『ツカむ!話術』(角川新書)のほか、著書多数。近著に『パックン式 お金の育て方』(朝日新聞出版)。

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