アングル:米公共工事から締め出されるマイノリティー業者、トランプ政権の政策転換で
写真は建設業者のグレゴリー・コディ氏。3月16日、テキサス州ダラスのオフィスで撮影。REUTERS/Shelby Tauber
Bianca Flowers
[シカゴ 17日 ロイター] - トランプ米政権が、マイノリティーや女性など経済・社会的に不利な立場の人が所有する小規模企業(DBE)を支援する運輸省のプログラムを見直したため、こうした企業は公共工事から閉め出され始めている。
2021年にバイデン政権下で成立した1兆2000億ドル規模のインフラ投資・雇用法(IIJA)は、地上交通、公共交通、高速道路安全研究に関する資金の少なくとも10%をDBEへ振り向けるという国家目標を定めた。
しかしトランプ政権は、多様性・公平性・包摂性(DEI)など、人種やジェンダーを考慮した政策の見直しや撤廃を進める広範な取り組みの一環としてDBEプログラムの見直しに着手。南部ケンタッキー州の連邦地裁は昨年10月、DBEを社会的・経済的に不利な立場にあると自動的にみなすルールの廃止を認めた。
新ルールの下で、全米の約5万社がプログラムの再認証を受けるために、財務書類に加えて、個人の経験や人生の出来事を自分自身の視点から語る「パーソナルナラティブ」の提出を求められている。企業は人種や性別には言及せずに、自らの経験に基づいて、具体的な困難や制度的障壁、機会の欠如を示し、当該企業が社会的・経済的に不利な立場に置かれていることを証明しなければならない。
連邦の交通関連資金も州を通じて配分されるが、認証は州レベルで行われ、手続きやスケジュールが州ごとに異なる「パッチワーク」状態になっている。さらに、大規模インフラ事業におけるDBEの参加目標も停止された。
米運輸省はロイターの取材に、「州が認証申請の判断をいつどのように行うかを義務付けていない」が、その判断は「人種や性別に基づいてはならない」と回答した。
ロイターが行った25件余りのインタビューから、マイノリティーの請負業者は州政府および連邦政府との契約制度の変更で事業や生計が脅かされており、既に利益減少や人員削減、プロジェクトの遅延が起きていることが分かった。DBEの認証を受けていた企業は再申請を求められているが、審査結果を数カ月待っているケースもあった。
再評価の期間中もDBEは入札に参加できる。しかし、資本力のある大企業との競争にさらされ、交通インフラ契約における競争条件を平準化するという制度本来の目的が損なわれていると、コンサルタントや弁護士らは指摘している。
女性所有企業の支援団体「ウイメン・ファースト」のジョアン・ペイン会長は「元請けやゼネコンは必要に迫られない限り女性やマイノリティーの企業を起用しない。参入目標がなくなったことで制度は壊滅的な打撃を受けた」と話した。
<新たな障壁>
DBEの再認証手続きを巡る不透明感は、全米の大規模インフラ事業で既に現実の問題となっている。中西部ミネソタ州では、州史上最大となる18億ドル規模の橋梁架け替えプロジェクトで、マイノリティー企業の参加目標が撤廃された。ロイターが確認した未公表文書によれば、昨年10月の判決以前には8.6%の参加目標が設定されていた。
同州は昨年11月に再認証手続きを開始したが、完了時期や対象企業数は明らかにしていない。州運輸当局の報道官は、将来的に参加目標が復活する可能性はあるとしつつも「時期は分からない」と述べた。
トランプ政権は今年2月、ニューヨークとニュージャージーを結ぶ総額160億ドルの「ゲートウェートンネル」計画について、建設資金が、政権が違憲と見なすDEI政策と結び付いていないことを確認するためとして、いったん事業を停止した。その後、連邦裁判所が資金の拠出を命じ、約2週間後に資金が再開された。
また南部フロリダ州はこの制度自体の廃止を求めている。ロイターが確認した25年11月20日付のメモでパーデュー州運輸長官は、「この制度を完全に廃止し、経済競争力の向上と中小企業支援を主目的とする制度に置き換えるべきだ」と主張した。
<資金配分目標の喪失>
1兆2000億ドル規模のIIJAは、州や地方を通じて連邦資金を流し、地域の雇用創出を促すことを目的としていた。しかしマイノリティーの請負業者は、DBEプログラムがなければマイノリティーや女性が所有する企業に資金が回ってこないと訴えている。
20年以上にわたり複数の政府機関で元請けおよび下請けとして仕事をしてきた南部テキサス州の建設業者グレゴリー・コディ氏(63)は、「共和党主導の州の中には、連邦資金を獲得するためだけに、こうした目標を形だけ掲げていたところもあった。しかし今では『もう君たちは必要ない』というわけだ」と話した。
コディ氏は昨年10月に再認証を申請したが、テキサス州運輸当局から結果や時期についての連絡はないという。当局は、2月に再評価を開始して以来、まだ認証を完了した企業はないと説明した。
南部バージニア州ポーツマスでトラック運送会社を営むテレル・ジョンソン氏(35)は、旧制度下でも「実際には受注の機会は不足していた」と語る。「大きな仕事はいつも同じ業者に回っていた。彼らが小規模企業の仕事を支配し、独占していた」と嘆くジョンソン氏は、再認証を申請しないつもりだ。
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