コラム

世界で休業補償をしている国はない

2020年04月14日(火)15時14分

事業者への休業補償には否定的な考えの西村康稔経済再生相 Issei Kato-REUTERS

<新型コロナウイルスの感染拡大対策で企業に対する休業要請が広がるなか、休業補償のあり方を巡って国と自治体がもめているが>

何度も言ってきたが、企業に対して休業補償をしている国は主要国では存在しない。

世界中どこでも、支える対象は個人、人間であって、企業ではない。

欧州各国での休業補償といわれているものは、日本では雇用調整助成金にあたり、雇用者側が被雇用者にたいして休業手当を支払う義務があり、それに対して政府が補助金を出す仕組みだ。

今回の危機に対して、これを大幅に拡大して、政府は条件を大幅に緩和し、かつ補助率も90%である。これはリーマンショックのときも行われ、今回はさらにそれを大幅に拡大している。

非正規も対象に含めたのは大進歩

さらに今回特筆すべきことに、これまでは含まれてなかった、いわゆる非正規雇用も対象に含めている。非正規雇用という言葉も存在も、危機後にすべて消滅させて、正規も非正規もない制度に改革すべきであるが(これは20世紀からの課題で解決していないが)、現状では、非正規のままではあるが、休業手当への雇用調整助成金の対象に含めることで、実質正規化している。これは素晴らしい政策で絶賛したい。

これを現実に支払っていないのは企業側、雇い主の問題で、これを徹底的に取り締まることが重要だ。

残されているのは、個人事業主、フリーランスを含む人々だが、これは難しく、政府としては妥協案で、100万円を配ることにした。そして、自営業者も雇用側と被雇用側が一体となっているため難しいが、それも200万円を配るという手段で妥協した。これはベストとは言えないし、実施も難しい面があるが、妥協案としては仕方がないところだろう。

企業を守る手段は、資金繰り支援しかなく、公的金融機関が世界的に見てももっとも発達している日本では、ほかの国よりもこれは迅速で相対的に言えば機能している。失業させず、企業にとどめ、企業と協力しながら、雇用、働き手を守るということで徹底してそこに集中するしかない。

世界的に見て、日本のこのセーフティネットは最高水準にある。

休業補償を企業に対して行っている主要国はない。世界的には日本と違ってより強い権限で、休業を指示しているが、それでも休業補償を企業にはしていないのだ。

*この記事は「小幡績PhDの行動ファイナンス投資日記」からの転載です

プロフィール

小幡 績

1967年千葉県生まれ。
1992年東京大学経済学部首席卒業、大蔵省(現財務省)入省。1999大蔵省退職。2001年ハーバード大学で経済学博士(Ph.D.)を取得。帰国後、一橋経済研究所専任講師を経て、2003年より慶應大学大学院経営管理研究学科(慶應ビジネススクール)准教授。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。新著に『アフターバブル: 近代資本主義は延命できるか』。他に『成長戦略のまやかし』『円高・デフレが日本経済を救う』など。

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