最新記事
シリーズ日本再発見

オバマのお気に入りは「エリート」な日本製の水性ボールペン

All the President’s Pens

2021年01月27日(水)16時30分
ジューン・トーマス

元米大統領は「ユニボール・ビジョンエリート」とシンプルな黄色いリーガルパッドがお好み LARRY DOWNING-REUTERS

<筆記具に「強いこだわり」がある元米大統領が選んだ製品の評判と使い心地は?>

バラク・オバマ前米大統領は先日、お気に入りの筆記具を明らかにすることで、アメリカ人の生活の中でも特に論争の多い分野に参戦した。

オバマはニューヨーク・タイムズ紙に対し、新著『プロミスド・ランド(約束の地)』のような長文を執筆するときはパソコンではなく、手書きで草稿をまとめるのが好きだと告白。さらに筆記具には「強いこだわり」があり、法律家がよく使う黄色いリーガルパッドの用紙と、三菱鉛筆の黒の水性ボールペン「ユニボール・ビジョンエリート」の組み合わせが好みだという。

紙については、もっといい候補がありそうだ。確かにオバマは法律の専門家だし、長年の習慣はなかなか消えるものではないが、ベーシックなリーガルパッドは品質の低い多孔質の紙でできていることが多いため、インクがにじんで前大統領の鋭い洞察にぼやけた印象を与えかねない。

しかし、その紙に先細のローラーボールを組み合わせれば、インクの染みやにじみを最小限に抑えられる。その意味でオバマの筆記具は賢明なチョイスだ。ユニボールのウェブサイトによると、この水性ボールペンは特許技術で「水、色あせ、詐欺に対する保護を提供」しているという。

民主党のリーダーは「エリート」の名が付いた筆記具を使うべきではない──そう忠告する顧問の姿が目に浮かびそうだが、これがあるかないかの区別は重要だ。

ユニボールのビジョンシリーズには主力ラインが2つあり、ベーシックモデルの「ビジョン」はインクの色が8色、ペン先の太さ(ボール径)が2種類あり、希望小売価格は2.75ドル。ペンアディクトの名称でブログとポッドキャストを運営するブラッド・ダウディーの評価は、「単なるいいペン」だ。「大量のインク漏れ」を起こしやすいそうなので、前大統領の筆記具にはふさわしくない。

ビジョン・エリートはそれより50セント高いが、その価値は十分にあるとダウディーは言う。「にじみがなく、書き心地がいい」だけでなく、飛行機の中で使っても液漏れしないので、空の旅が多い人には最適。ペンアディクトは「パイロット・プリサイスV5」に次いで2番目に優秀な水性ボールペンと評価している。

筆者も文房具には一家言ある人間だが、格納式ペンが好きなので、個人的にはボール径0.28ミリと超極細の「ユニボール・シグノRT1 UMN-155」を勧めたい。「ロディア№18」などのきめ細かい紙質のメモ帳と組み合わせれば、前大統領にぴったりの執筆環境の出来上がりだ。

©2020 The Slate Group

<本誌2021年1月12日号掲載>

japan_banner500-season2.jpg

ニューズウィーク日本版 教養としてのBL入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月23日号(12月16日発売)は「教養としてのBL入門」特集。実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気の歴史と背景をひもとく/日米「男同士の愛」比較/権力と戦う中華BL/まずは入門10作品

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

日中双方と協力可能、バランス取る必要=米国務長官

ビジネス

マスク氏のテスラ巨額報酬復活、デラウェア州最高裁が

ワールド

米、シリアでIS拠点に大規模空爆 米兵士殺害に報復

ワールド

エプスタイン文書公開、クリントン元大統領の写真など
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦い」...ドラマ化に漕ぎ着けるための「2つの秘策」とは?
  • 2
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 3
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 4
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 5
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 6
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 7
    70%の大学生が「孤独」、問題は高齢者より深刻...物…
  • 8
    ロシア、北朝鮮兵への報酬「不払い」疑惑...金正恩が…
  • 9
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 10
    ウクライナ軍ドローン、クリミアのロシア空軍基地に…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 9
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 8
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中