コラム

その3Dメガネ、不潔じゃない?

2010年06月14日(月)20時05分

 『トイ・ストーリー3』『シュレック・フォーエバー』など今後も続々と公開される3D映画に欠かせないのが、専用の3Dメガネ。「重くてうっとうしい」「自分のメガネと2重になって見にくい」などの不満を耳にするが、私が何より気になったのは衛生面だ。

 他の誰かの顔や髪に密着していたものだと考えると、なんとなく落ち着かない。目を擦った手でメガネを触ったり、咳やくしゃみの飛沫が付着することで、インフルエンザなどの感染ルートにもなるんじゃないだろうか・・・。「ばい菌なんてどこにでもいるのに、神経質になりすぎ」という指摘は当然あるのだろうけれど、長時間使うものだけに、気になり始めると映画を楽しむどころではない。

 同じように感じる人は少なからずいるようで、米女性誌グッド・ハウスキーピングは先週、ニューヨーク州やコネティカット州などの7つの映画館で3Dメガネの消毒状況の抜き打ち検査を実施した。その結果、きちんと殺菌されていたメガネは「一つもなかった」とのこと(どの映画館も「毎回、使用後に消毒している」と申告していたのだが)。さまざまな細菌が付着していたが、なかには黄色ブドウ球菌が付着したメガネもあり、結膜炎や食中毒、さらには敗血症や肺炎の感染源になりかねないという。

 
 イタリアでも、『アバター』が大ヒットしていた今年2月、3Dメガネの使い回しによって目の疾患を広がっているとして、7000本のメガネが回収された(映画の大ヒットで観客が殺到し、消毒が間に合わなかったらしい)。

 こうなると、日本の映画館は大丈夫?と心配になる。そこで、私が映画を観賞した都内の映画館に問い合わせたところ、「ピュアステラというアルカリ分解水に浸けて、毎回消毒しております」とのこと。電話に出た女性が即答したところをみると、問い合わせが結構あるのかもしれない。


 ここは、日本人の勤勉さ、正直さを信じてみようか。それでも気になる人は、自分で対策を。グッド・ハウスキーピングによれば、アルコール消毒をすれば細菌の95%以上を除去できるし、洗面所で石鹸を使って水洗いしても同等の効果があるという(乾いたティッシュで拭くだけでは66%しか除去できない)。
 
――編集部・井口景子


このブログの他の記事も読む

プロフィール

ニューズウィーク日本版編集部

ニューズウィーク日本版は1986年に創刊。世界情勢からビジネス、カルチャーまで、日本メディアにはないワールドワイドな視点でニュースを読み解きます。編集部ブログでは編集部員の声をお届けします。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエルがイラン再攻撃計画か、トランプ氏に説明へ

ワールド

プーチン氏のウクライナ占領目標は不変、米情報機関が

ビジネス

マスク氏資産、初の7000億ドル超え 巨額報酬認め

ワールド

米、3カ国高官会談を提案 ゼレンスキー氏「成果あれ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 6
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 7
    米空軍、嘉手納基地からロシア極東と朝鮮半島に特殊…
  • 8
    週に一度のブリッジで腰痛を回避できる...椎間板を蘇…
  • 9
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 10
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 9
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story