コラム

高市政権「日銀人事」を金融市場が「最高値」で信認した理由

2026年02月27日(金)06時30分

審議委員の交代によって、よりバランスが取れた議論に

金融財政政策(マクロ安定化政策)が経済成長率を左右する重要なツールであることを、高市早苗首相は深く理解しているのだろう。

第二次安倍政権が歴史的な長期政権となった主たる要因は、日銀人事を左右して経済状況を安定させたことだと認識している高市官邸は、日銀審議委員の人事に強いこだわりを持っているようだ。

植田和男総裁率いる日本銀行は、2024年から利上げを続けている。植田総裁よりも利上げに前のめりなメンバーが追加利上げを主張するなど、高市首相らは、日銀の利上げピッチが速すぎることに警戒感を持っているとみられる。

日本経済は実質経済成長率で1%を下回る程度で2025年半ばからブレーキがかかり、いわゆる米欧版消費者物価コア(酒類を除く食料とエネルギーを除外)は前年比1.5%程度で推移したまま。「2%の基調インフレ」には依然として距離がある状況だ。

今後の政策決定会合において、野口委員の代わりとなる浅田氏の金融政策に対する姿勢は、野口氏とほぼ同様とみられる。そして、中立派だった中川委員の代わりとなる佐藤氏は追加利上げに慎重な姿勢を示すだろう。

審議委員の交代によって、「実質金利が低すぎる」などの理由で追加利上げに前向きな議論が主流となっていた政策決定会合において、よりバランスが取れた議論が展開されるはずだ。

プロフィール

村上尚己

アセットマネジメントOne シニアエコノミスト。東京大学経済学部卒業。シンクタンク、証券会社、資産運用会社で国内外の経済・金融市場の分析に20年以上従事。2003年からゴールドマン・サックス証券でエコノミストとして日本経済の予測全般を担当、2008年マネックス証券 チーフエコノミスト、2014年アライアンスバーンスタン マーケットストラテジスト。2019年4月から現職。『日本の正しい未来――世界一豊かになる条件』講談社α新書、など著書多数。最新刊は『円安の何が悪いのか?』フォレスト新書。

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