「映画を語るなら観るべき」成瀬巳喜男監督『めし』の解釈について
僕のこの視点は、たぶんというか間違いなく、成瀬や制作側の狙いとは違う。でもラストの三千代のナレーション「(略)その男のそばに寄り添って、その男と一緒に幸福を求めながら生きていくこと。(略)女の幸福とは、そんなものではないのだろうか」も含めてエンディングの展開には(あまりに前時代的すぎることは前提としても)、トラップかアイロニーではないかと思いたくなるほどに不穏な雰囲気が漂っている。
......ような気がする。まあこれは、エンディングに納得できない僕の願望が反映された見方であることは言うまでもない。
『めし』(1951年)
監督/成瀬巳喜男
出演/上原 謙、原 節子、島崎雪子、進藤英太郎
<本誌2025年5月6日/13日合併号掲載>

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