石井聰亙『シャッフル』は特別で別格──走るチンピラと追う刑事、全力疾走の舞台裏
ILLUSTRATION BY NATSUCO MOON FOR NEWSWEEK JAPAN
<デビュー直後の武田久美子とプロデューサーの荒戸源次郎以外は、みなほぼ無名。準主役の刑事を頼まれた僕は、監督とカメラを乗せた中古ハイエースをひらすら追い続けた。最後には...>
刑事役をやってほしいのです、と石井聰亙(現・岳龍)は言った。台本はその前にもらっていた。刑事ならば準主役だ。ラストに腹を至近距離から銃撃されて死ぬ。そのシーンを思い浮かべながら僕は、目を閉じて死にたいのです、と石井に言った。
石井は首をかしげる。意味が分からないようだ。僕は説明した。テレビドラマなどではこうした状況でよく目を開けたまま無念そうに死にますよね。ずっとあれが嫌でした。死ぬときは目を閉じるべきです。説明しながら自分でも何が言いたいのか分からなくなった。でも石井は少し考えてから、分かりました。その演技はお任せします、とうなずいた。
『シャッフル』の制作は秋田光彦で撮影は笠松則通、助監チーフは緒方明。キャストは中島陽典と室井滋、武田久美子に荒戸源次郎と森達也。
デビュー直後の武田久美子とプロデューサーの荒戸源次郎以外は、みなほぼ無名だった。ネットの映画情報サイト「映画.com」でこの映画は、以下のように紹介されている。
「自分を裏切った女を殺したチンピラと彼を追う刑事が、全編にわたりひたすら全力疾走を続ける姿を映し出す。壮絶なスピード感とエネルギーの中、流血のクライマックスへと突き進んでいく......」
銃を手にしたチンピラと彼を追う刑事は市街地を走り続ける。ロケの8割は走っていた。先行する中古ハイエースのバックドアを開けて小さな三脚に固定した16ミリカメラのファインダーをのぞく笠松の横で、石井はほぼ無言だった。だからハイエースのスピードに合わせて走り続けるしかない。今にして思えば、それが石井の演出プランだったのだろう。極限まで走らされて体力がゼロになりかけた中島と僕は、本気で苦悶しながら鉄柵を飛び越え、相手の銃撃をかわし、とにかく走り続けた。
ようやくチンピラを緊急逮捕した刑事は、取り調べのために警察署に向かう。もちろんリアルではない。制作部が探してきた廃墟のような建物だった。ほぼ順撮りの撮影はこの日でクランクアップ。多くのスタッフとキャストが集結した。阪本順治が演じていたのは警官AだったかBだったか。手塚眞が現場にいたことも記憶している。
最後に銃撃されて絶命する僕は特殊効果スタッフから、シャツの下に女性用のナプキンを当てられた。その上に火薬を仕込んだ弾着をガムテープで固定する。血のりを入れるのはコンドーム。衣装は一着のみ。つまり一発勝負だ。NGは許されない。
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