コラム

今後の日本の「科学技術の趨勢」を占う「応用脳科学コンソーシアム」の現在地と未来

2026年01月15日(木)17時10分

「企業がやりたい研究開発ができるような情報提供の場を作りたい。これが私たちの目標」と力を込める。

また、コミュニケーションにおける創造性や共感を、脳計測、瞬き、視線などのデータで解析・予測する研究も進めている。これは国のCOIプロジェクトで9年間続けてきた成果を、プロジェクト終了後も継続しているものだ。

また、研究会やSIG(Special Interest Group)も多様化している。

今年度立ち上がった主なSIG
・情報×脳科学(AI・データサイエンス領域)
・神経オルガノイドSIG(生命科学・製薬が関与)
・計算論的認知モデルSIG(マーケティング・社会科学とも連携)

これらのSIGは、企業と研究者が「実際に使える脳科学」を共に議論する場として活発に動いている。

2026年の新たな挑戦──「量子×脳科学SIG」

特に注目すべきは、2026年に立ち上げる「量子科学×脳科学SIG(Special Interest Group)」だ。萩原氏は「今日のシンポジウムのテーマそのもの。来年度のSIGとして、量子科学と脳科学の融合を進めたいと考えている」と話した。海外ではすでに「アルツハイマー病のスクリーニングに量子AIを使う」といった研究が盛んに行われている事例を紹介した。

「量子計算科学やコンピューターを、どう脳科学に応用していくか。これは研究者だけの仕事ではなく、企業がそこに投資していくという考え方も必要な時代になっている。量子計算科学が、もっと手軽に使える時代になってくるはず。日常生活で起こっていることをビジネスに結びつけるために、量子科学が非常に重要になるだろう」と予見した。

プロフィール

南 龍太

共同通信社経済部記者などを経て渡米。未来を学問する"未来学"(Futurology/Futures Studies)の普及に取り組み、2019年から国際NGO世界未来学連盟(WFSF・本部パリ)アソシエイト。2020年にWFSF日本支部創設、現・日本未来学会理事。主著に『未来学』(白水社)、『生成AIの常識』(ソシム)『AI・5G・IC業界大研究』(いずれも産学社)など、訳書に『Futures Thinking Playbook』(Amazon Services International, Inc.)。東京外国語大学卒。

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