コラム

「AI」と「脳科学」と「量子コンピューター」がつながる未来...応用脳科学が見据える2050年とは?

2026年01月13日(火)20時17分

特に量子情報科学は新しい情報革命の中心とされる。実際に米国ではNQI(国家量子イニシアティブ法)が成立し、産学官によるQED-C(量子経済開発コンソーシアム)が組成されている。

シンポジウムは、一般には理解困難で取っつきにくいとされる「量子」を極力わかりやすく脳科学と関連づけて考えるとともに、その将来的な可能性を探ることに眼目を置く。量子科学と脳科学の融合というテーマに基づき、第一線の研究者や政府関係者が登壇した。以下、シンポジウム冒頭の挨拶を紹介する。

量子と脳──取り巻く環境と取り組む課題

「量子力学は分からなくていい。でも、そのインパクトは真剣に考えるべきだ」

最初に挨拶したCAN代表理事・理事長の岩本敏男氏はそんなメッセージを織り交ぜ、聴衆の耳目集めた。岩本氏は「今日のシンポジウムのテーマは、ある意味では少しチャレンジングすぎるかもしれない」とも語る。たしかに今回のテーマである脳科学と量子科学は、一見すると遠く離れた二つの世界を結びつけようという、大胆な試みと映る。

岩本氏がまず触れたのは、AIの急速な進化だ。「2022年11月30日、ChatGPTが世に出た」と回顧。すっかりゲームチェンジャーとなったChatGPTは、わずか2カ月でユーザー数が1億人を突破、衝撃的なスタートから3年が経過した。

その間、2~3カ月ごとに新しいバージョンが登場し、GoogleやMeta Platformsといった米ビッグテックの新サービス、機能が次々と開発され、しのぎを削ってきた。2025年8月にはGPT-5を発表、好敵手のGoogleも生成AI「Gemini3」で巻き返しを図るなど、目まぐるしく変化し続ける。

「量子は分からなくていい」という逆説

岩本氏は職業柄、量子コンピューターについてよく尋ねられ、その度に「スピンしているコインには表と裏が同時に存在する。そんな状態」と説明するという。しかし自身はその説明について、「言葉としては分かっているつもりですが、実際には分からないんですね」とも打ち明ける。

プロフィール

南 龍太

共同通信社経済部記者などを経て渡米。未来を学問する"未来学"(Futurology/Futures Studies)の普及に取り組み、2019年から国際NGO世界未来学連盟(WFSF・本部パリ)アソシエイト。2020年にWFSF日本支部創設、現・日本未来学会理事。主著に『未来学』(白水社)、『生成AIの常識』(ソシム)『AI・5G・IC業界大研究』(いずれも産学社)など、訳書に『Futures Thinking Playbook』(Amazon Services International, Inc.)。東京外国語大学卒。

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