コラム

「ADULT K-POP」トロットの魅力を世界に広める男性4人組・K4 個性派ぞろいのグループの魅力に迫る

2024年07月09日(火)12時00分

K4メンバーのヒョンミンとジュジュ

K4メンバーのヒョンミン(左)とジュジュ(右)

サバイバルオーディションに賭けた思い

──K4が誕生するきっかけとなった『ハロートロット』ですが、この番組に参加した理由を教えていただけますか。

ヒョンミン 若い世代に向けたトロットをやりたいと考えていた頃に、運よく『ハロートロット』の募集告知を見たんです。この番組なら自分にマッチするかもしれないと思ったのが動機です。

ジュジュ 参加する前は、ずっとトロットの歌手としてやっていけるのか、やっていくべきなのか悩んでいたんです。だから最後のチャレンジとして同番組に参加しました。当時は"ここでダメだったら歌手をあきらめよう"とさえ思っていたんです。

フィリップ 私も歌手になる夢をあきらめきれずに最後のチャンスだと思って応募したんです。でも4人の中ではいちばん早く脱落してしまいましたが......。でも番組終了後に担当ディレクターから誘いがあってK4に合流しました。落ちてしまった自分が加入することに最初はためらいもあったのですが、K4はグローバルチームなので、母国語が英語である自分なら貢献できるのではないかと考えて、加入を決めました。

チョ・ジュン(以下、ジュン) 私は以前、オペラとミュージカルの世界にいたのですが、 コロナ禍でできることが減ってしまいました。そんな状況下でどうすれば私の歌を多くの方々に聴いてもらえるのかと悩んでいたところ、ちょうど 『ハロートロット』の告知を見て、挑戦しようという気持ちになりました。

──トロットとは別のフィールドでやってきた人にとって、トロット特有のビブラート(こぶし)をマスターするのは相当大変だったのではないでしょうか?

ヒョンミン 私の場合、父親がトロットを歌っていたこともあり、テクニカルな部分に関しては大丈夫でした。しかしながら、日本の演歌も同じだと思うんですけれども、 歌の根底にエモーショナルなところがあるジャンルなので、表現の仕方が本当に合っているのかどうかを父親に確認してもらいながら練習しています。あとは先輩のステージをよく見て真似をしてみることも重要ですね。

フィリップ 真似することから始めて、練習を重ねて自分のスタイルに磨き上げていく。それが大切なんです。

ジュン 私はトロットの初心者だったので、『ハロートロット』で歌っていくうちに成長したと思っています。

ボーカルトレーナーとして2500人を育てた

──ヒョンミンさんは、かつてボーカルトレーナーとして2500人を育成したと聞いています。いろいろなジャンルに精通していないとできない仕事ですよね。

ヒョンミン はい。教えるために幅広いジャンルを学ばなければいけませんでした。もともとは大衆的なバラードが好きだったんですけれども、今はロックやR&B、レゲエも聴いています。トロットは様ざまな音楽の要素を取り入れたジャンルなので、そういった面で自身の音楽経験がプラスになっていると感じます。

──20年ほど前にソロ歌手になろうと決意したのがすべての始まりだったそうですね。

ヒョンミン 20代はソロ歌手として活動しました。その頃の評価や人脈のおかげでボーカルスクールを設立することができたのです。ところがある日、教え子に「先生の夢はなんですか?」と尋ねられたときに、はっと目が覚めました。それでスクールの経営を整理して、再びプロの歌手になろうと決意したわけです。

プロフィール

まつもとたくお

音楽ライター。ニックネームはK-POP番長。2000年に執筆活動を始め、数々の専門誌・ウェブメディアに寄稿。2012年にはK-POP専門レーベル〈バンチョーレコード〉を立ち上げ、イ・ハンチョルやソヒといった実力派を紹介した。現在は『韓流ぴあ』『ジャズ批評』『ハングルッ! ナビ』などで連載。LOVE FMLuckyFM楽天ポッドキャストの番組に出演中。著書は『K-POPはいつも壁をのりこえてきたし、名曲がわたしたちに力をくれた』(イースト・プレス)ほか。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

プーチン大統領、北朝鮮の金総書記に新年のメッセージ

ワールド

焦点:ロシア防衛企業の苦悩、経営者が赤の広場で焼身

ワールド

北朝鮮の金総書記、24日に長距離ミサイルの試射を監

ワールド

ホンジュラス大統領選、トランプ氏支持のアスフラ氏が
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 2
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足度100%の作品も、アジア作品が大躍進
  • 3
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...どこでも魚を養殖できる岡山理科大学の好適環境水
  • 4
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 5
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 8
    ゴキブリが大量発生、カニやロブスターが減少...観測…
  • 9
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 10
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 4
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 7
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story