- HOME
- コラム
- 犯人目線で見る世界 ダークサイドの社会学
- 街に住居に公園に...今日の防犯対策に生かされる「…
街に住居に公園に...今日の防犯対策に生かされる「城壁都市のDNA」 理にかなっている理由とは?
城壁都市のDNAはヨーロッパでも確認できる。例えば、ウィーン(オーストリア)の低所得者向け市営住宅は、城壁都市のミニチュア版のような集合住宅だ(写真6)。
マンションの入り口にはゲートバーが設置され、手動で開閉しなければ出入りできず、各住戸にも中庭側からしかアクセスできない。つまり、居住空間は「入りにくい場所」になっている。
中庭に造られた公園(遊び場)は、周囲360度から視線が届くので「見えやすい場所」だ。
さらに、この公園を「入りにくい場所」にするため、①公園の通り抜けをしないよう歩行者を誘導する舗装道を左右に設け、②近づいてくる人に子供が気づける時間を確保するバッファーゾーン(緩衝地帯)として、遊具と歩道の間に芝生を植えている。
また、西洋諸国では公園にも城壁都市のDNAを見ることができる。例えば、バルセロナ(スペイン)の公園では、遊具のある遊び場がフェンスで囲まれていて、入りにくい場所になっている(写真7)。その姿はさながら城壁都市のミニチュアのようだ。
ウェリントン(ニュージーランド)の公園もフェンスに囲まれ、ゾーニングされている(写真8)。子供が連れ去られるケースのほとんどは、子供がだまされて自分からついていくパターン。だが、ゾーニングされている公園では、子供専用のスペースに入るだけで、子供も周りの大人も警戒するので、だまして連れ出すことは難しい。
犯罪者に狙われる家の「共通点」とは? 広域強盗事件の現場から浮かび上がる「2つの条件」 2025.07.08
『ウォーキング・デッド』が犯罪学や社会学の「素晴らしい教材」と言える理由 2025.05.08
公園のデザインに見る日本と欧州の防犯意識の違い 2025.03.05