コラム

日本に「パワハラ」や「クレイマー」がはびこる理由

2024年10月15日(火)21時10分

この点で参考になるのが、アメリカの神学者ラインホルド・ニーバーの次の言葉である。

──神よ、変えられないものを受け入れる平静心と、変えられるものを変えていく勇気、そして、この二つを見分ける賢さを与えてください。

この言葉を筆者なりに言い換えると、「やすらぎ」と「ときめき」になる。困難をしなやかに受け止めるためには、変えられないことをそのまま受け入れる平静心、つまり「やすらぎ」が必要だ。さらに、困難をしたたかに乗り越えるためには、変えられることを見極め、それに立ち向かう挑戦心、つまり「ときめき」が必要だ。「やすらぎ」と「ときめき」の2つがあって、初めてストレスやフラストレーションを「正しく」解消できるのだ。

「やすらぎ」と「ときめき」の関係は、車の正しい運転に例えることができる。「やすらぎ」は、アクセルを踏まないことだが、ずっと踏まないでいると、後続車に追突されてしまう。逆に、「ときめき」はアクセルを踏むことだが、踏み続けていると、先行車に追突してしまう。

正しい運転の仕方が、適切な車間距離を保つことであるように、正しい心の持ち方も、「やすらぎ」と「ときめき」のバランスを保つことだ。それが個人の正義であり、やがては社会の正義につながっていくものなのである。

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プロフィール

小宮信夫

立正大学教授(犯罪学)/社会学博士。日本人として初めてケンブリッジ大学大学院犯罪学研究科を修了。国連アジア極東犯罪防止研修所、法務省法務総合研究所などを経て現職。「地域安全マップ」の考案者。警察庁の安全・安心まちづくり調査研究会座長、東京都の非行防止・被害防止教育委員会座長などを歴任。代表的著作は、『写真でわかる世界の防犯 ——遺跡・デザイン・まちづくり』(小学館、全国学校図書館協議会選定図書)。NHK「クローズアップ現代」、日本テレビ「世界一受けたい授業」などテレビへの出演、新聞の取材(これまでの記事は1700件以上)、全国各地での講演も多数。公式ホームページはこちら。YouTube チャンネルはこちら

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