- HOME
- コラム
- 犯人目線で見る世界 ダークサイドの社会学
- 性犯罪から子どもを守る新制度「日本版DBS」の致命…
性犯罪から子どもを守る新制度「日本版DBS」の致命的な盲点
繰り返すが、場所の所有者・管理者には、犯行機会を減らす義務がある。したがって、学校や保育所などの責任者も、学校や保育所などを「入りにくく見えやすい場所」にする必要がある。
しかし、そうは言っても、関連情報が乏しければ、責任者自身が、性犯罪を行う危険性が高い人を、学校や保育所などに入れたくなくても、気づかずに入れてしまうことも起きる。そうした情報環境をそのままにしておいて、入れてしまった責任を追及するのは酷である。
そこで、関連情報を十分に提供することで情報環境を「見えやすい場所」にするから、正しい判断をして、子どもたちを守ってほしいというのがDBSである。言い換えれば、犯罪機会論の実効性を高めるシステムがDBSなのだ。
日本版DBSの議論は、表面的でテクニカルな問題に終始し、根本的な犯罪機会論にまで議論がたどり着いていない。しかし、前述したように、犯罪機会論がDBSの前提なので、今のままでは「木を見て森を見ず」といった感は否めない。本当に子どもを性犯罪から守りたいのなら、まずは犯罪機会論の法制化が必要なのではあるまいか。
新年度に気をつけたい子どもの防犯対策 「サバンナの草食動物」から学ぶリスク・マネジメント 2024.04.03
防犯対策の世界常識が日本に定着しないのは、その礎が「城壁都市」にあるから 2024.02.03
日本がずっと放置してきた「宿題」...「文化」が変われば「防犯対策」も変わる 2024.01.12
ショッピングモールのデザインが「かつての監獄」と同じ理由 2023.12.10
危うさを含んだ「正義」の行使...「自警団系ユーチューバー」を自警団成立の歴史から考える 2023.11.14
性犯罪から子どもを守る新制度「日本版DBS」の致命的な盲点 2023.10.17