コラム

なぜ? 温暖化で海氷が減少するなか、ホッキョクグマの栄養状態が近年「改善」していたと判明

2026年01月31日(土)16時15分

スバールバル諸島周辺で捕獲されるホッキョクグマは生存戦略によって2つのタイプに分けられるという。「沿岸型」はスバールバル諸島周辺を離れない。一方「外洋型」は春に後退をする海氷を追いかけて数百キロメートル移動していた。

オスの栄養状態は95~00年ごろにかけ急激に悪化したが、その後の10年間で着実に改善し、初期値の近くまで戻った。12歳まで急激によくなり、その後は安定。メスも同様のパターンを示し、00年まで低下した後、改善に転じていた。

母親クマは出産と授乳で体重が40%以上も減少

メスの栄養状態は生後3〜5カ月ほどの子連れが最も悪く、単独または2歳子連れが最も良かった。 母親は雪に掘った巣穴に数カ月閉じこもり出産と授乳を行うため体重が40%以上も減少する。海氷消失日が遅い年やその翌年に栄養状態が悪化するという予想とは逆の結果も得られた。

バレンツ海は北極圏で最も海氷喪失が激しいにもかかわらず、ホッキョクグマの栄養状態は00年以降改善傾向にある。西ハドソン湾などの先行研究とは対照的な結果となった。 アールス博士らのチームはその理由としていくつかの要因を挙げている。

第一に、海氷面積の減少でアザラシの生息密度が相対的に高まり、狩りの効率が上がっている可能性。第二に、スバールバル諸島ではホッキョクグマがトナカイ、セイウチの死骸、鳥の卵、増加傾向にあるゼニガタアザラシやアゴヒゲアザラシを捕食していることが確認されている。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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