コラム

「犯罪抑止」か「プライバシー侵害」か...英警察、リアルタイム顔認識カメラ技術で取り締まり強化へ

2025年12月05日(金)18時46分
イギリスで顔認識カメラの防犯利用が強化

ロンドン南部の商店に備え付けられた防犯カメラ Toby Melville-Reuters

< イギリスでは犯罪多発地域でリアルタイム顔認識カメラ配備が拡大。パスポートデータベースへのアクセスを認めるかに対する国民の意見は分かれる>

[ロンドン発]英国の警察が4500万人分のパスポートデータベースや運転免許証の写真にアクセスし、リアルタイムの顔認識技術を使って犯罪者を捕まえる――こうした仕組みを全国の市町村に拡大させる法的枠組みを整備するため英内務省の公開協議が始まった。

イングランドとウェールズの犯罪多発地域で逃亡中の容疑者を捉えるためリアルタイム顔認識カメラの配備が拡大している。景気低迷で万引きが多発し、日常的な光景になりつつある中、警察以外の公共機関や小売業者にも顔認識技術の使用を認める可能性がある。

プライバシーへの配慮から現在、警察のパスポートデータベースへのアクセス権は極めて限定されている。今回の公開協議ではその目的や警察がどのような状況でパスポート画像や移民データベースにアクセスできるのかを定める。

「 DNA鑑定以来最大の突破口。警察が利用できるツールに」

内務省のサラ・ジョーンズ警察担当閣外相は英紙デーリー・テレグラフ(12月4日付)に「DNA鑑定以来最大の突破口。すでに数千人の危険な犯罪者を街から排除した。警察が利用できるツールの一つにするため、どこで役立つのかを明確にし、適切な基準を整備したい」と話す。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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