コラム

「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収された1兆円超は誰のもの? 中国は「返還」要求

2025年10月10日(金)19時03分

「犯罪収益」か「第三者の被害資産」か

2300万ポンドもする邸宅を購入しようとした時、マネーロンダリングの監視網に引っ掛かる。18年、警察の家宅捜索でハムステッド・ヒースの邸宅から6万1000ビットコインが保管されたウォレットが見つかった。しかしウォレットがようやく解析できたのは3年後だった。

事件の焦点は押収された暗号資産を誰が所有するかに移っている。英財務省が裁判所の判断でビットコインを売却できれば、500億ポンド(約10兆2167億円)とも言われる財政の穴を一部補填できる。

一方、中国政府は「被害者の資金」として資金の返還を要求している。

英国では裁判所が「犯罪収益」と判断すれば国家が売却、「被害資産」と見なされれば被害者が返還請求できる。暗号資産が厳しく規制されている中国で被害者が名乗り出ることは大きなリスクを伴うため、英政府が売却して国家財政に組み入れる可能性が高いとみられている。

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プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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