コラム

すでに日英は事実上の「同盟関係」にある...イギリスが「積極的に日本に接近」する理由

2025年08月02日(土)16時52分

米国との信頼関係を損なわないよう慎重な調整が必要

アフガニスタン撤退やウクライナ戦争、「米国第一主義」のドナルド・トランプ米大統領再登場を受け、日本や英国は「米国主導の安全保障が必ずしも確実とは限らない」との疑念を深め、独自の抑止力構築を模索している。

宇宙、電子戦、自律型兵器、人工知能(AI)領域において日英は補完関係にあり、ハードパワー不足を補えるが、米中の注意を引くのは否めない。北大西洋条約機構(NATO)のような集団防衛メカニズムが存在しないアジア太平洋における2国間同盟はほぼすべて米国を含んでいる。

グレゴリー大佐は「日英間に形式的な条約はまだ存在しないが、実質的には同盟に近い関係と言える。今後の方向性としては『日英条約型同盟』が現実的に検討され得るが、その際には米国との信頼関係を損なわないよう米国を含めた慎重な調整が必要」と結論付けている。

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プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

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