コラム

ドイツ極右AfDが得票率倍増で第2党に躍進...ドイツはデンマークに続く「難民ゼロ政策」の国へ?

2025年02月25日(火)18時36分
ドイツ総選挙で躍進したAfDワイデル共同党首

ドイツ総選挙で躍進したAfDのアリス・ワイデル共同党首(2月23日) Soeren Stache/Pool via REUTERS

<メルケル氏の「門戸開放」が残した「350万人の難民」という大きなツケで崩壊したショルツ連立政権。次期首相最有力のメルツCDU党首はドイツをどこに導くか>

[ロンドン発]ドイツ総選挙が2月23日投開票され、保守の最大野党・キリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)」が得票率28.5%で首位を奪還した。極右政党「ドイツのための選択肢」(AfD)は前回総選挙から倍増の20.8%と国政レベルで初の第2党に躍進した。

オラフ・ショルツ首相率いる中道左派・社会民主党(SPD)は16.4%と大敗。3党のカラー「赤・緑・黄」から信号機と呼ばれた連立から離脱し、20年ぶり前倒し総選挙のきっかけとなった自由民主党(FDP)は4.3%と議席獲得に必要な5%を下回り、存亡の危機に瀕している。

インフレやエネルギー高騰の後遺症が生活に暗い影を落とす。輸出主導型経済が逆風に見舞われ、ドイツは2年連続で景気後退した(推定)。アンゲラ・メルケル前首相の門戸開放に起因する350万人の難民(人口の4%)。ショルツ連立政権は三重苦に耐え切れず、崩壊した。

「メルツ氏は謎に包まれている」

移民・難民による無差別殺傷事件が相次ぎ、反移民・難民感情が高まる中、投票率は東西ドイツ統一後最高の82.5%を記録した。次期首相になる見通しのフリードリヒ・メルツCDU党首についてドイツ系英国人の歴史家兼ジャーナリストのカーチャ・ホイヤー氏はこう分析する。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

テスラ会長、マスク氏の後継CEO探し否定 報道は「

ワールド

米、中国に関税交渉を打診 国営メディア報道

ビジネス

NZフォンテラの消費者事業売却、明治など入札検討か

ビジネス

三井物産、26年3月期純利益は14%減見込む 資源
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 2
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    中居正広事件は「ポジティブ」な空気が生んだ...誰も…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 10
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story