コラム

気候変動問題は、今や国際政治を動かす「地政学」に...バイデンCOP27「強行参加」の狙い

2022年11月12日(土)16時04分

仏大統領「中国と米国はもっとやらなければならない」

フランスのエマニュエル・マクロン大統領はCOP27での座談会で「欧州以外の豊かな国々に圧力をかけ、『あなた方は自分の分を支払わなければならない』と言いたい。特に、中国と米国はもっとやらなければならない。欧州は支払っている。しかし支払っているのはわれわれだけだ」と述べ、バイデン氏にプレッシャーをかけた。

バイデン氏の演説に先立つ米ホワイトハウスの記者ブリーフで「損失と損害」に米国は資金を提供するのかという質問が出たが、担当者は「バイデン政権は公的資金を触媒に民間資金の動員を促す」と答えるにとどめた。

脱炭素化を進めれば当然、エネルギーの需給は逼迫する。COP26で世界の脱炭素化が前進し、コロナ危機からの復興需要で原油・天然ガス価格が高騰したところをロシアのウラジーミル・プーチン大統領に逆手に取られ、ウクライナ侵攻を許した。

スエズ運河のあるエジプトは世界の物流を握る地政学上の要衝でもある。中国やロシアの手に渡すわけにはいかない。多国間より2国間の方が外交のテコが効く。気候変動問題はすでに温暖化対策にとどまらず、エネルギー安全保障、中国との主導権争いという地政学的色彩を帯びる。

エジプトやイスラエル沖の東地中海ガス田開発に熱視線

ドイツと米国はエジプトのクリーンエネルギー経済を支援する商業投資100億ドル(約1兆3880億円)を引き出すため、2億5000万ドル(約347億円)の資金を提供すると発表した。 10ギガワットの風力・太陽光発電を新たに導入する一方で、5ギガワットの非効率な天然ガス発電を廃止する。エジプトは30 年までに自然エネルギーの設備容量を 4 倍にするという。

COP27の「脱炭素化の日」の11日、会場では天然ガス産出国は石炭や石油より二酸化炭素排出量が少ないガスを過渡的な燃料として再ブランド化する動きが目立った。気候変動対策の先頭に立つ欧州もウクライナ戦争でエネルギー危機に陥り、ロシアに代わるエネルギー源としてエジプトやイスラエル沖の東地中海ガス田開発に熱視線を送る。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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