コラム

コロナ感染再拡大でさらに深刻化する世代間の葛藤

2020年09月24日(木)17時14分

8月15日の光化門集会以前に1日平均40人前後で収まっていた新規感染者数は、8月15日以降再び増え始め、8月27日には441人まで増加した。このように感染が再拡大すると、今度は若者が高齢者を「コンデ」と呼んで非難し始めた。韓国語でコンデとは、「自身の経験を一般化して若者に考えや行動などを一方的に強要したり、自分の若い頃の自慢話ばかりをしたり、なんでも経験して分かっているように語る高齢者世代(広くは中高年世代)」を意味している。

コンデに相当する日本語はまだよく分からないが、あえて訳すと「老害+くそじじ(くそばば)」の意味に近いのではないかと考えられる。とにかく、コンデを含めた高齢者が開いた集会のせいで感染が再拡散されたことに対する若者の反応は冷たく、若者と高年齢者の亀裂はさらに深まった。

以上で紹介したように韓国では感染の再拡大が原因で若者と高年齢者の世代間の葛藤が深刻化している。文在寅大統領の側近が次々とスキャンダルに巻き込まれることにより文在寅大統領に対する若者の支持率は大きく低下しているものの、保守的傾向が強い高年齢者とはまだ意識が大きく異なる。今後、利己主義の性格が強い若者と自分の経験が最も大事なコンデをコントロールする方法を見つけることが、韓国社会の世代間の葛藤と新型コロナウイルスを解決する近道かも知れない。

プロフィール

金 明中

1970年韓国仁川生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科前期・後期博士課程修了(博士、商学)。独立行政法人労働政策研究・研修機構アシスタント・フェロー、日本経済研究センター研究員を経て、2008年からニッセイ基礎研究所。日本女子大学現代女性キャリア研究所客員研究員、日本女子大学人間社会学部・大学院人間社会研究科非常勤講師を兼任。専門分野は労働経済学、社会保障論、日・韓社会政策比較分析。近著に『韓国における社会政策のあり方』(旬報社)がある

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