コラム

「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること

2025年09月11日(木)18時02分
中野サンプラザ再開発が白紙になった理由

YU_PHOTO/SHUTTERSTOCK

<中野サンプラザなど大規模な再開発計画が軒並み中止に追い込まれている背景には、インフレによる工費の高騰だけではない根源的な理由がある>

不動産価格が高騰するなか、大規模な再開発が軒並み中止に追い込まれている。主な要因は資材価格の上昇や人手不足とされているが、根本的には大規模緩和策を起点としたマネー主導の不動産市場が飽和したことにある。

長らく東京・中野のランドマークとして親しまれてきた中野サンプラザが解体され、再開発が行われるというニュースは多くの人を驚かせた。だが、その話題から約2年後の25年3月、中野区は再開発について断念する方針を固めたと報道されている。


インフレによって工費が当初の2倍近くの約3500億円に膨れ上がることが明らかとなり、事業者が都への施行認可申請を取り下げるという異例の事態となった。実はこうした問題は中野だけに限定されたものではなく、全国各地で大規模な再開発の見直しや中止が相次いでいる。

再開発が頓挫している根源的な理由は大規模緩和策によるマネーの大量供給にストップがかかり始めたことである。日銀は大規模緩和策による悪影響をこれ以上、放置できないことから、金利の引き上げを進めており、既に長期金利は1.5%の水準まで上がっている。

大規模緩和策は意図的に低金利と物価上昇を引き起こす政策だが、企業の設備投資拡大という期待した方向にマネーは動かなかった。現実には、低金利によって銀行が無理な貸し出しをせざるを得なくなり、安全な融資先として不動産に大量の資金が流れた。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネスなどの分野で執筆活動を行うほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『スタグフレーション』(祥伝社新書)、『本気で考えよう! 自分、家族、そして日本の将来』 (幻冬舎新書)など著書多数。

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