コラム

「売れる車がない」日産は鴻海の傘下に? ホンダも今後は見通せず...「破談後」の厳しい未来

2025年02月27日(木)11時37分

日産には売れる車がほとんどない状況

こうした状況から日産とホンダの経営統合が議論されてきたわけだが、両者の社風が極端に違うことに加え、日産の経営状態があまりにも悪すぎることから、ホンダ主導でなければまとまらない可能性が高かった。

日産は現在、売れる車がほとんどないという状況となっており、主力の北米市場はもちろんのこと、日本や欧州、アジアなど世界のほぼ全ての地域で販売不振となっている。特に北米では販売奨励金を積み増すことで、何とか販売台数を維持してきたが、その図式が崩れつつある。


同社は販売コストが高いことから、開発や生産設備の更新に十分な資金を投入できず、その結果として、魅力的なクルマを開発できないという悪循環が続いている。一部ではEV戦略の失敗を指摘する声もあるが、売れる商品を作れないという、それ以前の段階でつまずいているのが現実だ。

仮に経営統合が実現した場合でも、日産側が抜本的なリストラを進めない限り、再生が難しいというのは一致した見方である。その意味で協議がまとまらなかったのは驚くべきことではない。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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