コラム

アマゾンやテスラが「脱炭素」産業に参入、日本企業に勝ち目はあるか

2021年09月22日(水)21時08分

一連の動きを広範囲に、かつ機動的に実施するには、高度なAI(人工知能)システムと大規模クラウドというITインフラが欠かせない。

テスラはソフトウエアを駆使した高度な電力制御技術を使って事業を展開しており、アマゾンは電力利用者であると同時に、大規模なクラウドサービスを中核としたITインフラ事業者でもある(先日、アマゾンのクラウドが障害を起こし、国内の金融機関や通信会社のサーバーが相次いでダウンするトラブルが発生したが、日本のITシステムの多くがアマゾンに依存していることを改めて認識させた)。

つまり、脱炭素を成功させるためには、ハードウエアの技術以上に高度なITが必要となるわけだが、この点において国内産業の現状は厳しい。既に欧米中とのIT格差が拡大しており、当該分野に関するソフトウエア技術への大規模投資をすぐにでも決断しない限り、来るべき新時代において、中核技術のほとんどを外国企業に握られるという事態になりかねない。

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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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