コラム

消費税の減税に踏み切ったドイツ──日本が学ぶべきこととは

2020年06月24日(水)06時30分

財政を一方的に拡大すればいつかはインフレが進行し、現金の価値が目減りするので、結局は預金者に課税することと同じになる(いわゆるインフレ課税)。増税は消費や所得に対する課税だが、インフレは事実上の預金者への課税という違いがあるだけで、政府がつくった債務を国民が負担するという点では何も変わらない。

財政拡大論者はインフレになる前に財政支出を制御するとしているが、これは財政縮小と同義であり、本末転倒になってしまう。景気対策で財政出動を継続した場合には、どこかのタイミングでインフレが発生し、事実上、預金者から税金が徴収されてしまう。

どちらの方法にせよ国民の負担を最小限にとどめるには、高い経済成長を実現し、税収もしくは所得を上げるしか方法はない。重要なのは今後の成長をどのように実現するのかという点だが、減税だけでなくEVやITなど次世代産業分野への投資に大規模な予算を割くドイツに学ぶべき点は多い。

日本のコロナ対策に最も欠如しているのは、コロナ後を見据えた産業構造の転換という発想である。経済成長を実現する真の原動力は企業のイノベーションであって減税ではない。今までと同じことをやっていては、同じレベルの成長率(つまり他の先進国よりも低い)しか実現できないのは明白である。

<本誌2020年6月30日号掲載>

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2020年6月30日号(6月23日発売)は「中国マスク外交」特集。アメリカの隙を突いて世界で影響力を拡大。コロナ危機で焼け太りする中国の勝算と誤算は? 世界秩序の転換点になるのか?

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネスなどの分野で執筆活動を行うほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『スタグフレーション』(祥伝社新書)、『本気で考えよう! 自分、家族、そして日本の将来』 (幻冬舎新書)など著書多数。

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