コラム

ミスド「500店舗調理廃止」は外食産業シェア化の幕開け

2017年04月04日(火)18時18分

若年層人口の減少で売上減に加え人手不足も

日本のドーナツ専門店市場は、長くミスドの独占状態が続いてきた。最近ではクリスピー・クリーム・ドーナツが海外から進出したり、コンビニがドーナツに参入するなど、競合店が増えたものの、ミスドの存在感は圧倒的だ。

ところが肝心の業績は、苦しい状況が続いている。ミスドは清掃サービス大手のダスキンが運営しているが、同社外食部門の2016年3月期における売上高は440億円、営業利益は15億円の赤字だった。外食部門の低迷は今に始まったことではなく、5年前と比較するとミスドの全店売上高(フランチャイズ店があるのでミスド本体の売上高とは異なる)は20%も減少している。状況はまだ改善しておらず、2017年3月期決算では売上高が前年比7.3%減の410億円、営業利益は17億円の赤字を見込む。

ドーナツ専門店は主にファミリー層と若年層に支えられてきた。家庭の主婦が子供用にまとめ買いしたり、学生がグループで来店してドーナツとコーヒーを楽しむといった利用形態が多かった。以前は家計にも多少の余裕があり、こうしたお金の使い方もできたが、ここ10年で状況は大きく変わった。

労働者の実質賃金は減少が続いており、家計は支出を極端に控えるようになった。10個まとめ買いするといった買い方が少なくなり、学生のお小遣いも減らされて若年層の来店回数が減少した。この状況に追い打ちをかけているのが、慢性的な人手不足である。

日本では人口減少が進んでいるが、その中でも若年層の減り方が著しい。過去15年間で34歳以下の人口は何と22%も減少している。ミスドにとって若年層は顧客でもあり従業員でもある。顧客の絶対数が減少するとともに、店員の確保にも苦労するようになり、これが出店戦略に影響を与えるようになってきた。

【参考記事】消費低迷の裏に団塊高齢化、ミレニアル世代の消費構造も大幅変化

以前、牛丼チェーン「すき家」において深夜の1人運営体制(いわゆるワンオペ)が社会問題となり、同社は深夜営業の大幅な見直しを迫られた。過重労働が常態化していたことについては、体質にも問題があるが、労働市場で人を確保できないというマクロ的な環境を無視することはできないだろう。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネスなどの分野で執筆活動を行うほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『スタグフレーション』(祥伝社新書)、『本気で考えよう! 自分、家族、そして日本の将来』 (幻冬舎新書)など著書多数。

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