米利上げ後の予想で、悲観論が多いのはなぜか

FRBのイエレン議長がついに「想定通り」の利上げを決定したが、インフレ率の低さや原油価格の動向などを気にする専門家が多い(12月16日) Jonathan Ernst-REUTERS
〔ここに注目〕専門家と投資家の観点の違い
12月16日、米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)が政策金利の引き上げを決定した。米国の金融政策は、リーマンショック対策という非常事態モードから、正常化に向けて大きく舵を切ったことになる。
利上げの影響についてマスメディアでは様々な観点から議論が行われているが、こうした議論に耳を傾ける際には少々注意が必要である。学術研究者や市場関係者、エコノミストなど、いわゆる専門家と呼ばれる人たちと、そうではない人とでは、利上げに対するスタンスが少々異なっているからだ。
専門家は、一般的な利上げの背景や意味、それがもたらす影響について既知のものとしており、その上で、より専門的な観点からリスク要因や今後の動向について議論している。つまり、専門家の議論は、ビジネスマンや投資家の議論とは時に乖離する可能性がある。この部分を割り引いて考えないと、正反対の判断をしてしまうことにもなりかねない。
基本的に米国経済は好調である
FRBは16日、FOMC(連邦公開市場委員会)において、短期金利の指標となるフェデラルファンド金利(FF金利)の目標を0.25%引き上げた。FRBのイエレン議長は、年内の利上げについて過去に何度も言及しており、市場は今回の利上げを完全に織り込んでいたので、決定そのものは想定通りということになる。
だが、専門家による利上げ後の予想については、悲観的なものが多い。インフレ率の低さや原油価格の動向などを気にする専門家が多く、イエレン議長もこのあたりを考慮し、利上げは実施するものの、緩和的スタンスの継続を明言している。市場でも、円高への揺り戻しや株価の急落を懸念する声が出ている。
では、本当に米国の利上げはマイナス要素ばかりなのかというと、そういうわけではない。私たちがまず理解しなければならないのは、利上げを実施する基本的な理由である。
利上げは、米国の経済が好調に推移しており、このままでは景気が過熱するリスクがあるという理由で実施される。つまり米国経済のファンダメンタルズは基本的に良好であることが大前提である。利上げに対する専門家の慎重な見解は、これを踏まえた上でのリスク要因である。
米国経済の現状は数字を見れば、はっきりと理解することができる。7~9月期の実質GDP(国内総生産)成長率は年率換算で2.1%だった。同じ期における欧州(EU 28カ国)の成長率はプラス1.6%、日本の成長率は1.0%なので、米国の成長が突出しているのは明らかである。
経済学の世界では、全世界的に低成長トレンドに入っているのではないかという議論が活発になっており、その観点から、今回の利上げのタイミングは微妙であるとする専門家の見解も見られる。だが、これはイノベーションの効果も含めた経済全体の潜在成長力に関する議論であり、米国経済が相対的に高い成長を実現しているという事実とは切り離して考えた方がよい。
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