アングル:動き出したECB次期執行部人事、多様性欠如の是正図れるか
写真は欧州中央銀行(ECB)本部。2024年7月、フランクフルトで撮影。REUTERS/Jana Rodenbusch
Balazs Koranyi Francesco Canepa
[フランクフルト 17日 ロイター] - ユーロ圏諸国が、欧州中央銀行(ECB)役員会(正副総裁と理事4人の執行部)メンバーの大半を向こう2年で入れ替えるための作業に乗り出した中で、人員構成が域内市民の代表として十分な多様性を備えていないのではないかとの疑問が改めて浮上しつつある。
来年の次期議長人事を控え、金融政策運営を巡るトランプ政権からの批判にさらされている米連邦準備理事会(FRB)とは対照的に、ECBは執行部が交代しても独立性は安泰だし、政策運営に暗雲が垂れ込める心配はない。
しかしECBを政治の介入から守っている複雑な欧州連合(EU)の制度設計が、多様性という側面ではマイナスに働いている。その結果ECBの政策担当者は、経済規模が大きい西欧諸国出身の男性が圧倒的多数を占める世界の中央銀行の中でも、多様性ランキングの下位に甘んじ続けている。
こうした状況に変化をもたらす最初のチャンスは、来年任期を終えるデギンドス副総裁(スペイン出身)の後任人事になるだろう。
<圧倒的な男性優位>
ECBの政策担当者に地域、ジェンダー、民族の多様性が欠如していることで、加盟20カ国、3億5000万人の経済情勢を判断する際に「盲点」が生まれるとの批判が出ている。域内市民が現実に経験している生活の苦しさや物価・金利環境を全面的に把握し切れない可能性があるとの理由からだ。
実際、多様性が乏しいのは間違いない。26人で構成する理事会メンバーのうち24人、また理事会に加わる20カ国の中銀総裁は全て男性。また役員会の6人は、フランスとドイツ、イタリア、スペインというユーロ圏の経済規模上位4カ国出身の男性が選ばれるケースが大半で、東欧の旧共産圏出身者はこれまで1人もいない。
1998年のECB発足以降から現在までの役員会の女性比率は19%、ラガルド総裁がようやく初の女性トップになった。
コンファレンスボードの欧州経済・戦略・金融センターリーダー担当者マリア・デメルツィス氏は「女性代表という観点では、ECBの実績は最低最悪だ。多様性は大事で、社会全体への奉仕を目的としながら、ごく特定された狭い層の代表を選んでいては、適切な判断を下すことはできない」と指摘した。
<ポスト巡る駆け引き>
デギンドス氏の後任については、クロアチア、フィンランド、ギリシャ、ラトビア、ポルトガルがそれぞれ自国候補を擁立しており、ユーロ圏の小国か場合によっては東欧出身者が就任するかもしれない。
しかし2027年に総裁とチーフエコノミスト兼任理事、金融市場調節担当理事の交代も控えているだけに、次期副総裁人事は最も重要度が低いとみなされるかもしれない。
INGのエコノミスト、カルステン・ブゼスキ氏は「副総裁の役割はそれほど影響力を持たないので、ここで東欧出身者が選ばれたとすれば『象徴的な譲歩』に過ぎなくなる。もし私がドイツやフランスの当事者なら『副総裁を東欧に任せれば、われわれはより重要なポスト(確保に)集中できる』と言うだろう」と述べた。
ECBと他の中銀を比べると、例えばイングランド銀行の金融政策委員会(MPC)メンバーは女性が過半数を占める。英国では何年にもわたってMPCのジェンダー格差是正を求める政治と社会の圧力が続いていた。
スウェーデン中銀の政策委員会は男女同数、ノルウェー中銀は男性の政策委員がわずかに多いものの総裁は女性だ。
FRBの連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーもECBよりは多様性がある。ただトランプ大統領は、黒人女性初の理事となったリサ・クック氏に解任を通告するなど、多様性を低下させる方向に動いている。
<女性の役割>
ラガルド氏自身は、インフレが貧困層や社会的弱者、女性に最も打撃を与えると主張し、金融政策の包摂性を高め、ECBの女性職員採用を拡大するべきだと訴えてきた。
ところが残念ながらECBには次期役員会メンバー選出プロセスに関与する権限がなく、ラガルド氏もそうした人事にほとんど影響力を行使できない。
ECB役員会人事は、ユーロ圏の財務相会合(ユーログループ)などが候補者を協議して指名した後、欧州議会の諮問を経て、欧州理事会(EU首脳会議)が正式に決定する。
ボッコーニ大学とトリニティー大学の研究者が2020年に行った調査では、中銀当局者が女性である方がインフレにタカ派で、政策委員会の女性比率が高いほど中銀の信頼性維持には望ましいとの見方が示された。
デメルツィス氏は「ラガルド氏がトップにいるECBは改革に動く上で適切な環境にあるのに何もしていない。将来の新たな女性総裁の候補者を準備することさえさぼっている」と批判した。
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